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「包容的代案を探して」、さらに深まった「芸術の海」

「包容的代案を探して」、さらに深まった「芸術の海」

Posted August. 20, 2024 09:33,   

Updated August. 20, 2024 09:33

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怒った人々が街にあふれる絵の前に、コメ袋が置かれている。スピーカーからは、デモ現場で歌われるような歌が流れる。政治・社会的不安と直結したインドネシアのコメ価格の暴騰問題を扱った芸術グループ「タリン・パディ」の作品「メメディサワ/カカシ」が釜山(プサン)現代美術館1階に設置された。

この作品に向き合う壁は、尹錫男(ユン・ソクナム)の「女性独立運動家の肖像」シリーズでいっぱいだ。朝鮮(チョソ)時代の尹斗緖(1668~1715)の「自画像」を見て彩色画を勉強したという尹錫男は、女性独立運動家63人の肖像を描いた。尹錫男とタリン・パディの作品は時代的背景も国も違うが、個人の自由を抑圧することに抗議する姿を熱く描く。

解放を夢見ながらも多様性を尊重する態度を代案として提示した2024釜山(プサン)ビエンナーレ「闇の中に立って見る」が、17日開幕した。展示は18世紀、マダガスカル沿岸を行き来した海賊との間で形成された自治社会と仏教の度量からインスピレーションを得た。決められた枠組みから脱して、状況によって誰もがリーダーになれた海賊社会の柔軟さ、共同体を尊重する仏教の包容性を中心テーマに、32ヵ国62作家(チーム)の作品を披露する。

展示は、釜山現代美術館、釜山近現代歴史館、漢城(ハンソン)1918、草梁斎(チョリャンジェ)の4ヵ所で行われるが、釜山現代美術館が最も密度が高い。ソンチョン僧侶の仏画である「観音とマリア~真理は私のそばを離れたことがない」と、難破船を連想させるチョン・ユジンの「茫々たる大海路」が入口に大きく設置され、それぞれ仏教と海賊という展示テーマを代表する。

尹錫男とタリン・パディの作品が向かい合っているように、互いに比較する作品が一緒に配置された空間が多数登場する。韓国近現代史を扱ったシン・ハクチョルと、仏教や西欧文化が混在したカンボジアの日常を描いたChov Theanlyの絵画が互いに向かい合っている。日本の作家、寺内曜子とタイの作家、プラッチャヤ・ピントーンのインスタレーション作品もそうだ。

韓国人作家はもちろん、欧州と米国のビエンナーレでは見られなかった東南アジアの作家たちが多くスポットライトを浴びたのも特徴だ。政治や社会問題を積極的に取り入れて悩んだ跡が見える作品が多い。冷戦後、第3世界の形成に重要な役割を果たした国際会議「バンドン会議(アジア・アフリカ会議)」をテーマにした展示をドイツで披露した芸術監督のベラ・メイ氏とフィリップ・ピーロート氏は、今回の展示でも植民地主義と冷戦体制の名残から抜け出す代案を模索していく。二人は、「『光』を中心に思考した欧州の啓蒙主義から抜け出し、深い闇の中から包容的代案を探そうとした」と明らかにした。10月20日まで。


金民 kimmin@donga.com