月面の衝突口(クレーター)に初めて韓国人の名前が付けられることになった。
慶熙(キョンヒ)大学宇宙探査学科のタヌリ磁場搭載体研究チームは19日、ユニークな磁場の特性を見せる月の裏面のクレーターに、朝鮮(チョソン)時代の天文学者で数学者の南秉哲(ナム・ビョンチョル)先生の名前が付けられたと発表した。現在、月面のクレーターの名前は、国際天文連合(IAU)が各国研究チームから申請を受けて選定する。今回、慶熙大学研究チームの申請で最終審査を経て今月14日、「ナムビョンチョルクレーター」が誕生した。
慶熙大学の研究チームは、韓国初の月探査機タヌリで月面の磁場を研究している。ナムビョンチョルクレーターは、月面の磁場変化の研究を進めていたいくつかのクレーターの一つだった。研究チームは、このクレーターにまだ名前がついていないことを知り、共同研究中だった米カリフォルニア大学サンタクルーズ校のイアン・ギャリックベーサル教授と相談し、クレーターの名前を申請することになった。
月面のクレーターに名前を付けるためには、クレーターの科学的意味や命名される名前が科学者であることを証明できる資料が必要だ。ナムビョンチョルクレーターは、クレーターの内外の磁場が異なるユニークなクレーターだ。
名前が命名される前の2021年、このクレーターに関する研究内容が国際学術誌「ネイチャー」に掲載された。当時、論文を発表した米マサチューセッツ工科大学の研究チームは、直径100キロの鉄を豊富に含む隕石が月面に斜めに飛んできて衝突したと推定した。隕石が含んでいる鉄成分が強い磁場を起こしたという分析だ。
南秉哲先生は朝鮮後期の天文学者で、「南秉哲渾天儀」を開発したことが知られている。「渾天儀」とは、地球や太陽、月の動きを再現し、位置を測定する機器。南秉哲渾天儀は、簡単に観測できるようにした改良渾天儀だ。慶熙大学研究チームは、韓国天文研究院・高天文研究センターの推薦と協議を経て、最終的にナムビョンチョルクレーターという名前を提案した。
研究チームは、「現在、月を回っている任務期間中にナムビョンチョルクレーターを引き続き観測をすれば、新しい研究をつながることができるだろう」と話した。
チェ・ジウォン記者 jwchoi@donga.com