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童心、もしかしたら息の長いアスリートに最も必要な能力か

童心、もしかしたら息の長いアスリートに最も必要な能力か

Posted August. 21, 2024 09:57,   

Updated August. 21, 2024 09:57

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5回の挑戦の末、五輪テニス男子シングルスで金メダルを獲得したノバク・ジョコビッチは17日、自分のインスタグラムに自転車に乗る姿を投稿し、このように書いた。「練習再開。新しい目標はツール・ド・フランスのタデイ・ポガチャルだ、行くぞ!」。ポガチャルは、「ツール・ド・フランス」で今年まで総合優勝を3度も果たした現役最強の自転車ロードレース選手だ。

ニックネームが「ジョーカー(Joker)」であるジョコビッチにとって、この程度の冗談は日常だ。だからといって、このようなつまらない姿が彼のすべてではない。四大大会の最終戦である全米オープンが26日開幕する。テニス選手として初めて、四大大会通算25勝に挑戦する彼が、ただ笑って騒いでばかりいるはずがない。

記者がパリ五輪の取材中にジョコビッチの練習を見て驚いた場面も、非常に真剣だった態度が「いたずらっ子」に一変するところだった。ジョコビッチは、自分が動いていた方向とは逆に、ものすごいスピードで飛んでくる、つまり受けられるはずのないボールを逃すたびに、しばらく空を見ながら悔しさをかみしめた。膝の手術を受けてから7週目で、最初の適応トレーニングだったにもかかわらずそうだった。観客席が空っぽのコートで、ジョコビッチは決勝を行っているような気持ちでボール一つに泣き、ボール一つに笑った。

どんでん返しは2時間の練習を終えた後にあった。ジョコビッチは、ネットの前で2つのボールを次々と反対コートに投げた。練習を手伝っていたスタッフ2人も同じことをした。ベースラインにボールを一番近くに送る人が勝つゲームをしていたのだ。ジョコビッチは、スタッフのボールがラインを越えると断固として「アウト」を叫んだりもした。

「テニス史上最高の選手」と呼ばれる人が、このようなくだらないゲームに必死で臨む姿が可愛く見えた。そうするうちに突然ジョコビッチが言った言葉が頭をよぎった。ジョコビッチは、2022年の全豪オープンを控え、新型コロナのワクチン未接種で豪州から追放される屈辱を味わった。その後、「私がテニスを続けるのは、まだ私の中に子供がいるからだ。ラケットを握って『私これが好き、一日中やりたい』と言っていた4歳の子供のことだ」と話した。

選手たちはたいてい「面白くて」運動を始める。ただ、それが仕事となり、競争に埋もれた日常が繰り返されれば、楽しさを失いやすい。若い年で世界を制覇しても、すぐ引退したりスランプに陥るケースがどれほど多いことだろう。子供の時に感じた純粋な喜びは、大人になるほど他人の評価、キャリアへのプレッシャーで色あせたりする。しかし、今や本当にこれ以上実現することもないこの男は、すでに「2028ロサンゼルス五輪にも出たい」と言っている。4年後の彼は41歳だ。

法頂(ポブジョン)和尚(1932~2010)は散文集「清く香しく」の中で、「私たちは自分の夢と理想を裏切る時に老ける。歳月は私たちの顔にしわを残すが、私たちが仕事への興味を失う時は魂がしわになる」と書いた。額のしわは少し増えたかも知れないが、ジョコビッチの魂はまだ張り切っているように見える。人々は依然として彼の身体能力に注目している。だが、彼の本当の能力は、世の中が何であれ毎日「自分の中の子供」を先に笑わせる力かもしれない。