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「ピーターパン症候群」をなくせば、休む青年も減る

「ピーターパン症候群」をなくせば、休む青年も減る

Posted August. 23, 2024 09:01,   

Updated August. 23, 2024 09:01

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大人になりたくない大人を指す時、「ピーターパン症候群」という言葉を使う。企業についても、たまにピーターパン症候群に陥ったという。中小企業が中堅企業、大企業に成長せず、中小企業に留まろうとする現象を指す時だ。中小企業が自ら成長を止めるのは、それがより良いという判断があるためだ。より大きな企業になる瞬間、税金減免をはじめ政府から受けていた様々な支援と恩恵は途切れる。政府がめぐらせておいた「中小企業」の垣根からあえて抜け出すリスクを甘受する必要がないのだ。

中小企業を保護するための安全装置がむしろ彼らの足を引っ張る逆説的な状況は、24年前から指摘された。経済協力開発機構(OECD)は、2000年にまとめた「韓国経済報告書」で、「中小企業に対する大規模な支援が、生産性向上のための自主的努力を弱めることが分かった」と診断した。当時、OECDは中小企業政策を政府支援に依存させることから脱し、ダイナミックさを生かす方向に転換しなければならないと勧告した。以後、中小企業支援の問題は、OECDの韓国経済報告書に欠かさず登場した。官庁街では、「報告書が出る前に『トーンダウン』してほしいと言うのが政府の仕事だ」という話が出てくるほどだった。

今年も韓国経済報告書には、中小企業支援プログラムが過度に多いという判断が盛り込まれている。報告書を書いたヨン・ファレリウセン韓国担当官は、「昨年、中央政府と地方政府の中小企業支援プログラムを合わせれば1646件だったが、中小企業の生産性は引き続き遅れている」とし、「数を減らした単純なシステムがより効率的だろう」と話した。OECDは1646件の支援プログラムを、「破片化され、ひどく調整されたシステムだ」と評価した。

政府の支援が過度なのかについては、意見が交錯する可能性がある。しかし、ピーターパン症候群に陥った中小企業が多くなれば、良い働き口が増える可能性さえ消えることは明らかだ。韓国社会で良い働き口が足りないのは、大企業の働き口が少ないためでもある。韓国開発研究院(KDI)によると、韓国の大手企業の雇用の割合は14%(2021年基準)で、OECD加盟32ヵ国のうち最下位だった。OECD平均の半分にも及ばない。給与や福祉などの労働条件は、通常、大企業が中小企業よりはるかに良い。

大企業の働き口が不足して現れる問題の一つが、青年たちの労働市場離れだ。1年4ヶ月ほど務めていた中小企業を最近辞めた20代のA氏は、「頻繁な残業や上司との葛藤などで、この間会社生活がとても大変で、ひとまず休んでいる」と話した。このように働く能力があるにもかかわらず、先月明確な理由なしに休んでいる青年数はこれまでの7月の中に最も多かった。ただ休む青年は3ヵ月間、同月基準で史上最大値を再び更新している。

目線を下げろという言葉は無責任だ。韓国社会で初めての職場によって明確に分かれる人生の軌跡は、首を回せば確認できる。最初に良い職場に正社員として入れば、経済的に安定的な人生を生きていく可能性は非常に高くなる。残業手当もまともに支給できない中小企業に勤めていて、大企業に移る人を探すのは難しい。20年以上続いたOECDの勧告に、今からでも耳を傾け、競争力のある中小企業は大企業に成長できるようにしなければならない。遅くても、それがより確実な青年雇用対策だ。