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[社説]地方医学部増員なのに教授は首都圏へ

[社説]地方医学部増員なのに教授は首都圏へ

Posted August. 24, 2024 08:20,   

Updated August. 24, 2024 08:20

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政府が定員を増やした32の地方医学部の教授の増員にスピードを出せない中、教授たちが次々に辞め、地方の医療が回復不可能な状況に陥っている。専攻医の集団離脱で業務量が爆発的に増加して疲弊しているうえに、定員が大幅に拡大された地方の医学部では、教え子をきちんと育てることが難しいと判断して辞める教授が増えているのだ。辞職した教授の多くが首都圏の大型病院に移っており、地方医療の活性化という趣旨に反して、医学部増員で地域間の医療格差が大きくなることが懸念される。

政府の集計によると、先月10日までに全国40の大学病院88ヵ所で専門医教授1451人が辞職し、そのうち255人が病院を去った。特に地方大学教授の離脱が深刻だ。釜山(プサン)大学病院の場合、教授19人が辞職し、来月からは心筋梗塞患者も受けられないという。江原(カンウォン)大学病院は内科専門医が辞め、産婦人科をはじめとする他の診療科との連携に支障を来たしている。忠北(チュンブク)大学病院と世宗忠南(セジョン・チュンナム)大学病院に続き、京畿道(キョンギド)の亜州(アジュ)大学病院も救急室運営中止の危機に追い込まれ、救急室連鎖破綻事態が収拾できないほど大きくなっている。

地方の医学部の教授不足は以前から深刻なレベルであり、地域の診療報酬を大幅に引き上げ、定住条件を改善しなければならないという指摘が絶えなかった。しかし、診療報酬の調整という困難な課題に目を背けてきた政府が、医師の数を大幅に増やせば地域の医師不足も解消されるといういわゆる「トリクルダウン理論」云々し、使命感で耐えてきた地域の医師さえも背を向けるようにした。医学部増員に伴う政府の予算執行が遅れ、医学部認証評価で脱落するかもしれないという危機感も高まっている。そのため、チャンスがある時に教育と診療環境が良い首都圏に逃げようとするのだ。

当面は、秋夕(チュソク、陰暦8月15日)の連休を控えた全国の大型病院の救急室の大混乱を防ぐことから始めなければならない。政府は22日に初めて軽症患者の救急室利用料を引き上げる対策を打ち出したが、今、救急室は医師の離脱にコロナ禍まで重なり、消極的な行政では蘇生が不可能な文字通りの緊急事態だ。政府が何度も強調してきた「国防に匹敵する医療予算の支援」も口先だけではいけない。教授が去って地域医療が崩壊すれば教育も修練も不可能なのに、医学部の定員を増やして何の意味があるのか。