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後に残る物価高の影響、物価との戦いは終わっていない

後に残る物価高の影響、物価との戦いは終わっていない

Posted August. 24, 2024 09:30,   

Updated August. 24, 2024 09:30

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「これが2万6000ウォンですって?」

最近、ソウル光化門(クァンファムン)のファミリーレストランでサラダを注文した。値段が高くて2人前分を期待したが、量が途方もなく少なくて驚いた。「狂った物価」で悪名高い米ニューヨークで特派員の任期を過ごし、物価高に苦しめられたが、3年ぶりに帰ってきたソウルも侮れなかった。

特に、果物や野菜の価格は、この価格が合っているかどうかを何度も確認するほどだ。先日、オンラインダイエット情報映像に出演した医師が、「肉を数枚のサンチュで包んで食べなさい」と言うと、突然コメント欄が物価高の避難場所に変わった。「数枚のサンチュなど贅沢だ」という。豪雨のため、先月のサンチュ価格は前月より170%以上高騰した。

「体感」物価と指標上物価との隔たりが大きい。実際、物価上昇率は、一部の野菜などを除いて安定している。22日、李昌鏞(イ・チャンヨン)韓国銀行総裁は「物価のみ見れば、目標水準に近づいているという確信をもう少し持つようになった」と話した。住宅価格の上昇のため、金利を引き下げることはできなくても、物価は安定したという。強力な緊縮で世界を恐怖に震えさせた米中央銀行連邦準備制度理事会(FRB)も、インフレとの戦いの終息を宣言し、金利引き下げの第一歩を踏み出す準備ができている。

しかし、中央銀行の終戦宣言が色あせるほど、一般国民の物価との戦いは終わりが見えない。すでに大幅に値上がりした価格では、低い上昇率も負担となる。価格には、いわゆる心理的抵抗線というものがある。「5000ウォンのコーヒー」、「1万ウォンの冷麺」、「2万ウォンのパスタ」を越えれば、それだけ拒否感が増幅される。物価高で過去の生活水準に耐えられず、生計費に押さえられれば、実質的な苦痛も大きくなる。その上、長い金利高の緊縮政策の末には、景気減速が待っている。物価高と金利高による「生計費の危機」という後遺症は、指標より強力で粘り強く残るだろう。

経済に民心が怒ると、決まってポピュリズムが頭をもたげる。薄氷の米大統領選挙戦で、食品企業の価格統制が話題に浮上したのが代表的だ。民主党の大統領選候補として上昇の勢いに乗ったカマラ・ハリス副大統領は、第1号の経済公約として、「ぼったくり価格(price gouging)」を法で禁止すると述べた。世論調査ごとに物価に対する怒りが出るから出した公約だ。しかし、法が企業利潤のうち貪欲と適正利益を区分して線を引くことは不可能だ。価格統制は製品とサービスの質を落としたり、市場参加者を減らして、結局は価格高騰を招くこともある。成功した前例が非常に珍しい理由だ。

政治家がこれを知らないはずがないが、当面の票がより重要なようだ。遠くへ行くこともない。韓国も、野党が全国民に対し25万ウォンをばらまく政策を推進している。パンデミック時期に供給が萎縮した中、世界中で資金が供給され、需要を刺激した時に現れたインフレの嵐を忘れたのだろうか。物価高と金利高を招いた政策を、再び物価高の対策として打ち出すことはできない。結局、物価対策は長くかかっても、需要と供給のバランスで解決するしかない。気候変動や戦争、貿易障壁のような変数で、すでに物価高は長期戦になっている。景気まで減速し、生計費の危機がより一層大きくなる時、不思議なポピュリズムの誘惑を我慢することが「物価対策」の最初のボタンであるだろう。