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「ガベージイン、ガベージアウト」コンテンツが生きてこそAIも生きる

「ガベージイン、ガベージアウト」コンテンツが生きてこそAIも生きる

Posted August. 29, 2024 09:12,   

Updated August. 29, 2024 09:12

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韓国人のイ・スンユン氏(34)が2022年に米国で創業した「ストーリー」という会社は、企業価値が3兆ウォンに達する。創業2年でユニコーン企業(企業価値1兆ウォン以上の非上場企業)になったのだ。韓国で中古取引シンドロームを起こした「タングン・マーケット」と同様の規模だ。

ストーリーは、コンテンツを作る創作者の知的財産権(IP)保護を目指す。こうして保護されたIPを通じて収益を出すのだ。イ氏は、「ビッグテック企業が人工知能(AI)を学習させるためにコンテンツを無断使用している」と批判した。そして、「すべてのコンテンツが適切な補償を受けることができる方策を検討している」と話した。ストーリーが注目したのは、技術は急速に発展するが、IPは適切に保護されない現実だった。そして、この問題がより深刻化するということだった。ストーリーは最近、8千万ドル(約1064億ウォン)の投資を受け、その価値を改めて証明した。

ストーリーの成功は逆説的にコンテンツの危機を意味する。AIの登場で、「コンテンツルネッサンス」と呼ばれるほどコンテンツが注目されている。しかし、AI時代を主導するビッグテック企業は、AIを学習させる良質なコンテンツを望みながらも、創作者を保護し、生態系を作ることにはあまり関心がないようだ。

「ガベージイン、ガベージアウト(Garbage In, Garbage Out)」。「ゴミを入れるとゴミが出てくる」という意味だ。情報技術(IT)業界でよく使われるこの言葉は、「入力データが良くなければ、出力データが良くない」という意味だ。最先端の半導体と最高の技術で作られたAIであっても、ゴミを入力すればゴミが出てくるに違いない。逆に、良いコンテンツをたくさん吸収したAIはより強力になる。

グーグルの「ジェミニ(Gemini)」やオープンAIの「チャットGPT」など、グローバルトップランナーのAIは、すでに地球上にあるすべての情報を網羅しているように見える。本や百科事典、ニュース記事、SNSにアップされた会話や投稿など、デジタル化できるすべての資料を学習している。2032年にはAIの学習資料が枯渇するという見通しまで出ている。

問題は、AIが勉強するためと称して良質のコンテンツを無料で無差別に取り入れることだ。この過程で、ウェブ上の情報をランダムに探索する「クローリング」や「ウェブスクレイピング」などの方法も動員されたという。このような行為は、必然的に創作者の意欲低下と創作放棄を招く。一部の創作者は、自分のデジタル創作物にある種の毒物(毒性ピクセル)を放ち、AIがこれを学習した場合、馬鹿になるように罠を仕掛けることもある。21世紀のデジタル苦肉策だ。

このように創作者が倒れたら、次はAIだ。創作者の空席にはゴミだけが残り、ゴミで学習したAIはゴミを出すしかない。

韓国政府は1年余り前からAI関連著作権制度改善研究を開始し、昨年末に「生成型AI著作権ガイドブック」を発刊した。しかし、遅すぎるし生ぬるい。創作者を保護するのはAI規制ではなく、AIを生かす道だ。コンテンツとAIの好循環生態系を構築することは、AI強国になるための基本条件でもある。韓国のAIがゴミを学習しないようにもっと急がなければならない理由だ。