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[オピニオン]再び試練に立たされる強小国の経済安全保障

[オピニオン]再び試練に立たされる強小国の経済安全保障

Posted August. 30, 2024 08:54,   

Updated August. 30, 2024 08:54

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2021年4月、バイデン米大統領がホワイトハウスの緊急対策会議にサムスン電子を呼び出した時、韓国の財界には大きな波紋が広がった。世界的な半導体需給難でフォードやGMなど自国企業が危機に陥ったため、ホワイトハウスが出て 対内外の半導体企業を呼び出したのだ。異例のホワイトハウスの公式の呼び出しに、サムスン電子は仮釈放中だった李在鎔(イ・ジェヨン)会長(当時副会長)に代わって誰を「特使」として送るのか、米政府の要請にどう対応するのか、非常事態となった。

今ではおなじみの言葉となった、バイデン発の「経済安全保障」再編の始まりだった。新型コロナウイルス感染症と世界的な半導体需給難、米中対立で引き起こされた米国の経済安全保障政策は、韓国経済と産業界に多大な影響を与えた。サムスン電子はホワイトハウス会議出席後、自社のサプライチェーン関連資料を米政府に提出しなければならなかった。サムスンやSK、現代(ヒョンデ)自動車、LGなど韓国の主要グループは、新規生産拠点を米国現地に移した。今年上半期(1~6月)の対米輸出額が対中輸出額を上回るなど、韓国の長年の貿易構造にも異変が生じた。

70日も残っていない米大統領選挙を前に、国内産業界は再び水面下の外交戦に突入した。米国に過去最大規模の投資計画を明らかにしたサムスンは、上半期だけで計354万ドル(約47億ウォン)を米政府と議会へのロビー活動に費やした。1998年のロビー活動内訳の集計以来、上半期基準で最大の金額だ。米国の政官界のロビー資金を追跡する非営利団体「オープン・シークレット」が今月公開した主要企業の上半期のロビー活動予算現況によると、韓国4大グループとも前年同期比10%以上ロビー金額を増やした。

戦線もますます複雑化している。1ヵ月前に圧倒的な優勢を見せていたトランプ前大統領の反環境産業政策リスクに対応しなければならないだけでなく、最近勢いづいているハリス副大統領のクリーンエネルギー転換速度も把握しなければならない。何よりも、どちらの党が大統領になろうと、対中規制は再び新政権の「内部固め」のための最初のカードになる可能性が高い。

問題は、その中で韓国企業がいつでも弾丸を浴びる可能性があるということだ。産業界はすでに生存のために、米政府が今年発効予定の対中制裁に提案書を提出するなど、対応に乗り出している(東亜日報8月16日付A1-3面参照)。インフレ抑制法(IRA)とチップス法の時も財界の総帥たちが相次いで米国に出向き、水面下で政・官界の説得に力を入れてきた。

「強小国外交」が持つ生来の負担を考慮しても、外交当局と関係省庁も手をこまねいているわけにはいかない。新たな政局にアンテナを張り、彼らと共に走らなければならない。昨年、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の国賓訪米を機に、サムスン、SKが米国の対中半導体装置規制を猶予されるという成果があった。しかし、IRAで韓国製電気自動車が税額控除の対象から外れることになったにもかかわらず、政府の対応が遅かったことは残念だ。ホワイトハウスのサムスン電子呼び出しから3年が経った今、単に企業だけが試練を受けたわけではない。韓国の核心産業の前に置かれた未来と国家経済安全保障がかかっていることを忘れてはならない。


郭道英 now@donga.com