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型にはまった女

Posted September. 05, 2024 09:15,   

Updated September. 05, 2024 09:15

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大きな青い目、高い鼻、赤い唇、澄んだ白い肌。一目で見ても目鼻立ちが鮮明な美人だ。濃い色のドレスを着た女性はピンで留めた白くて大きなフードをかぶって私たちを見つめている。生き生きとリアルに描写された女性は一体誰で、なぜあんなに大きな髪飾りをしたのだろうか?

「若い女性の肖像」(1435年頃、写真)は15世紀のベルギー画家ロヒール・ファン・デル・ヴェイドンの初期の代表作だ。このようにモデルが画面の外にいる観客を眺めるスタイルの肖像画は当時、非常に目新しいものだった。以前の画家たちは、人物が虚空を見つめたり、聖母やイエスを眺めている感じで描くのが一般的だった。しかし、ファン・デル・ヴェイドンは違った。絵の中の人物が鑑賞者を見つめて語り掛けるように描いた。画家は目つきと表情を通じてモデルの心理まで表現しようとしたのは明らかだ。ファン・デル・ヴェイドンはこの新しい肖像画の道を切り開いた最初の芸術家の一人だった。

絵の中のモデルは、画家の妻だと広く知られているが、具体的な根拠はない。女性がかぶった髪飾りは15世紀に流行した「エナン(hennin=仏語)」という帽子だ。当時、宮廷の女性たちが好んで着用した帽子で、理想的な美しさと淑やかさとを象徴した。女性は両手に指輪をいくつかはめている。翼型のエナン、指にはめた指輪、ウールのドレスなどから、モデルはファン・デル・ヴェイドンの妻のようにブリュッセルに住んでいた中産階級の既婚女性であることが分かる。

画家が最も気を使ったのは意外と縦横の線だ。エナンの横のしわは女性の唇のラインと自然につながり、縦のラインは肩や胸のラインと一致する。ファン・デル・ヴェイドンがモデルに過度に大きい、高いエナンを被せた理由だろう。

画家は縦横線の調和を通じて理想的で淑やかな女性像を表現したかったが、その線によって女性は型の中に閉じこめられた身になってしまう。唇を固く閉じたが、口元を露出している女性は目で私たちに話しかけるようだ。型から抜け出したいと。