パレスチナ・ガザ地区南部とエジプトの間にある長さ14キロ、幅100メートルの狭い緩衝地帯「フィラデルフィア回廊」が、イスラエルとパレスチナ武装組織ハマスの休戦交渉を妨げる最大の障害として浮上した。イスラエルのネタニヤフ首相は最近、回廊内にイスラエル軍を駐留させる考えを明らかにした。ハマス側は「休戦を望まないネタニヤフ氏が意味のない軍の駐留を主張している」と反発している。
この回廊は、ガザ地区の南部国境のうち、唯一イスラエルと接していない地域だ。ロイター通信によると、イスラエル軍が「フィラデルフィア」と名付けたが、正確な理由は不明だ。
1967年にガザ地区を占領したイスラエルは、この回廊に軍隊を駐留させた。79年、イスラエルとエジプトが平和協定を結ぶと、イスラエル軍は重武器を撤収し、限られた兵力だけを残した。2005年、イスラエルはガザ地区の統治権をパレスチナ自治政府(PA)に引き渡し、この回廊から完全に撤退した。07年、ハマスがPAを追い出してガザの統治権を握り、その後、ハマスが管理してきた。
昨年10月に中東戦闘が勃発し、イスラエル軍は今年5月にここを支配した。ネタニヤフ氏は、ハマスがこの回廊の下に地下トンネルを掘って各種兵器や物品を密輸しているとし、「休戦交渉とは関係なく、ここには引き続き軍を駐留させる」と主張している。ネタニヤフ氏は4日の記者会見でも、ハマスがここを通じて再び兵器を持ち込み、再武装に乗り出すなら「ガザには未来がない」と主張した。
ハマスは、休戦を望まないネタニヤフ氏が故意にこの問題を重要議題にし、軍の撤退に関しても何度も発言を変えたとし、「軍の撤退の約束がなければ休戦に合意しない」としている。両者の休戦交渉を仲裁する米国とエジプトも、イスラエルの完全な軍撤退を要求している。
ハマスは2日から4日まで3日連続で、先月31日に死亡したイスラエルの民間人人質6人の生前の動画を公開した。4日にはアレクサンダー・ロバノフさん(32)、カルメル・ガットさん(40・女)の映像が公開された。
イ・ジユン記者 asap@donga.com