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北朝鮮のMZも冷笑的に見る金正恩氏の分かりやすい「水害対応ショー」

北朝鮮のMZも冷笑的に見る金正恩氏の分かりやすい「水害対応ショー」

Posted September. 06, 2024 09:16,   

Updated September. 06, 2024 09:16

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韓国に大雨が降った7月中旬、北朝鮮にも記録的な大雨が降った。1日に400ミリを超える量が降ったが、早い時期に降った異例の大雨に、北朝鮮当局は右往左往し、適切に対処できなかった。

豪雨は続き、被害は累積した。当時、韓国の情報当局は、北朝鮮内の住宅・土地はもとより人的被害まで相次いでいると見ていたが、なぜか北朝鮮当局は沈黙していた。官営メディアも豪雨についての言及を避けた。当時、韓国当局者は、「恐らく食糧難、経済難で民心が乱れている状況で、金正恩(キム・ジョンウン)総書記が被害の事実だけは北朝鮮住民に隠したいのではないか」との見方を示した。

その後、平安北道(ピョンアンプクト)や慈江道(チャガンド)などに数日間600ミリ前後の集中豪雨で、広範囲の地域で被害が続出した。住民にとって水害はもはや「他人事」ではなく、「自分の問題」になった。北朝鮮当局の隠蔽も長くは続かないという観測が流れた。

自然と関心は「最高尊厳」である金正恩氏の登場時期に集まった。金正恩氏が登場すれば、どのような行動でどのようなメッセージを出すのか。予想された方向は、いつもの通り「ツートラック」だった。自分は住民の傷を癒す英雄とし、一部の幹部は犠牲にして殺すだろうと予想された。

7月末、金正恩氏が登場した。北朝鮮のメディアは、鴨緑江(アプロクカン)周辺地域を訪れ、住民救助作業を指揮する金正恩氏の姿を大々的に報道した。被害現場で金正恩氏が乗った大型SUVの四輪が水に浸かった様子まで見せた。その後はさらに一段と甚だしかった。金正恩氏が被害現場を視察する写真を1日に数十枚ずつ公開した。金正恩氏はヘリコプターで、専用列車で、時には「さざ波にもすぐにひっくり返るように左右に不安定に揺れる」(官営メディアの表現)救命ボートにまで乗り込み、陸海空から北朝鮮住民を救いに駆けつけた。

一方で、幹部に対する責任を厳しく問い始めた。まず、地域の被害の責任を問い、社会安全相(警察庁長)と平安北道・慈江道の道党委員会責任書記などを更迭した。死亡者が出れば出るほど、幹部の叱責のレベルも上がった。最近では、一部の幹部を処刑した情況まで把握されている。

金正恩氏はいつもそうだった。危機が迫ると、自分は偶像化し、誰かを犠牲にして断頭台に立たせた。新型コロナウイルス感染拡大の時も、大規模な食糧難の時もそうだった。

ただ、金正恩氏は変わらないが、それを見る北朝鮮住民の反応は少し変わった。韓国当局者は、「金正恩氏の誇張された『ショー』を冷ややかに見る住民が増えた」と話した。白頭(ペクトゥ)血統の決まり文句の危機収拾マニュアルをそのまま信じず、冷笑的に見る北朝鮮住民が目に見えて増えたということだ。特に、このようなムードは、市場などを通じて北の地の向こうの世界をよく知る北朝鮮のMZ世代を中心に顕著になっているという。

金正恩氏は、数億ウォンもする高級車に乗って被害現場を訪れた。しばらく被害復旧の近況報道が止まった時は、金正恩氏の超豪華な専用ヨットが元山(ウォンサン)の別荘の沖合に浮かんでいた。このような矛盾した光景を隠し、被害復旧イベントで目を覆うには、もはや北朝鮮住民たちも十分よく知っている。今は陰口を叩いている彼らが集まって表に出てくる時、金正恩体制は最初の試練を迎えることになるだろう。