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孤独とコミュニケーションとの間、文学への情熱と愛憎を描く 演劇「サウンド・イン・サイド」

孤独とコミュニケーションとの間、文学への情熱と愛憎を描く 演劇「サウンド・イン・サイド」

Posted September. 09, 2024 09:18,   

Updated September. 09, 2024 09:18

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かつて嘱望される小説家だったが、17年間新作を発表できず孤独に陥っていた教授「ベラ」。彼女を尊敬する学生「クリストファー」は、毎日同じ時間にベラを訪ねてきて自分が危うく書いた小説を聞かせる。二人はますます近くなるが、心の中の「裸の木のある冬の公園」のような孤独まで癒しあえるだろうか。

来月27日までソウル中区(チュング)の忠武(チュンム)アートセンターで上演される米ニューヨーク・ブロードウェイの演劇「サウンド・イン・サイド」のあらすじだ。胃癌にかかったイェール大学英文学部教授のベラ、明晰だが不躾な学生クリストファーが絆を築いていく過程を描いた2人劇だ。ミュージカル「もしかしたらハッピーエンド」「イルテノーレ」の脚本家兼作詞家のパク・チョンヒュ氏が、脚本への色付けや演出までを初めて引き受けた。

登場人物たちは、カート・ヴォネガットやオノレ・ド・バルザックなど有名小説家たちを絶えず取り上げ、対話に立体感をつける。文学への情熱と愛憎は、二人の主人公が孤独を自任すると同時に、他人と繋がりたがる相反する心理を隠喩的に伝えた。ただ、ドストエフスキーの小説「罪と罰」を作品のメッセージとつなげようとしたことは明瞭に表れていない。

劇中の状況と心理は、ベラの視点から繊細かつ文学的な台詞で表現される。ベラは自分について、「私は錆びた栓抜き、何の役にも立たない考古学的遺物だ」と冷笑しながら、「歳月はどこかに流れてしまうものではなく、いつか突然襲ってくるもの」と話す。自身の心境を「真冬の暖かい雨に溶けてしまった雪」に例えたところは、まるで小説を読んでいるようだ。ベラ役は、ドラマ「財閥の家の末っ子」などに出演したソ・ジェヒが演じ、淡々としたストーリテラーとしての役割を効果的にこなした。


イ・ジユン記者 leemail@donga.com