スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)とムーディーズ、フィッチの世界3大格付け会社から上位等級のAランク(A-、A3、A-以上)を取得した非金融系の韓国企業数が史上初めて10社を超える勢いだ。今年、現代(ヒョンデ)自動車と起亜(キア)自動車などが「A」を取得したことで、上半期(1~6月)だけで9社で5年前の7社(年末基準)を早くも上回っている。パンデミックやサプライチェーンの再編、地政学的不確実性などに見舞われた時期に、韓国企業特有の「危機経営」能力が真価を発揮したという評価が出ている。
●上半期だけで「A」取得が9社、国際格付けの「優等生」に
10日、東亜(トンア)日報が金融監督院(金監院)の電子公示システムを分析した結果、今年上半期に3大格付け会社から「A」を取得した会社は9社だった。金融・保険・投資会社を除いてこの期間に評価を受けた会社が基準となる。同じ基準で、5年前はこの数値は7社だった。当時は「A」を
付与されなかった現代自動車や起亜自動車、現代モービス、ポスコホールディングスなどが高い評価を受け、数値が伸びた。
下半期(7~12月)に毎年「A」を取得してきた韓国電力公社と韓国ガス公社の評価があることを考慮すれば、史上初めて10社を突破するものとみられる。「A」を付与された企業数は、これまで2014年の7社から昨年は9社と、引き続き10社未満に止まっていた。
国別信用格付けまでつける3大格付け会社の評価は、長期基準でS&Pは22等級(AAA~D)、ムーディーズは21等級(AAA~C)、ピッチは20段階(AAA~D)に分けられる。このうち、A等級は債務の返済能力が十分で、「投資適格」に分類される中上位等級。財務諸表を基にした収益性(売上・営業利益率など)の分析はもとより、事業ポートフォリオ、支配構造、市場内での地位、経営透明性など、企業の根源的な競争力を計算する複雑で厳しい手続きを経なければならない。
ここで高い評価を受ければ、低い利率の社債を発行できる直接的効果だけでなく、ブランドイメージや存在感にも影響を及ぼすことになる。淑明(スクミョン)女子大学経済学部のカン・インス教授は、「Aがつけられれば、対外信用格付けの上昇で社債発行時に有利な金利を受けるのはもちろん、海外の主要機関からの投資誘致に有利になる」と話した。
●パンデミックなどの危機的状況で特有の対処能力を発揮
2016年、韓国国内のサード(THAAD=終末高高度防衛ミサイル)配備を受けて中国が報復措置を取り、現代自動車の中国での販売台数が急落した2018年。世界3大格付け会社の一つであるS&Pは、現代自動車・起亜自動車の格付けを従来のA-からBBB+に格下げした。それと共に、「否定的(Negative)」という予測までつけ、追加の格下げまで心配した状況だった。
冷え込んだ韓中関係は、5年が過ぎた今もそのままだが、信用評価において雰囲気は完全に変わっている。今年、現代・起亜自動車はS&Pはもちろん、ムーディーズ、フィッチなど他のグローバル格付け会社からA等級へと、相次いで評価をが上がったのだ。3大格付け会社からすべてA等級がつけられた自動車は、現代・起亜自動車のほか、トヨタ、ホンダ、ベンツだけだ。
危機的状況にいち早く対処した現代自動車グループの危機管理能力による結果だ、という分析が出ている。実際、現代・起亜自動車は2022年、車両用半導体不足などのサプライチェーンの危機の中で、史上初めて世界販売台数3位になる底力を発揮した。日本のホンダなどの競合他社が部品を手にできず、生産・販売台数が急落する中、販売順位を引き上げたのだ。
世宗(セジョン)大経営学科のキム・デジョン教授は、「貿易依存度の高い韓国で生き残るために、企業は対外状況によく対処する能力を重視するほかはない」とし、「そのような面が、パンデミック期間中に、生産システムの崩壊を防ぐと同時に、サプライチェーンを多角化する素早い対処へとつながった」と説明した。
金在亨 monami@donga.com