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北朝鮮が核濃縮工場公開、米大統領選に便乗した常套句の「身代金引き上げ」

北朝鮮が核濃縮工場公開、米大統領選に便乗した常套句の「身代金引き上げ」

Posted September. 14, 2024 09:20,   

Updated September. 14, 2024 09:20

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北朝鮮のメディアが13日、金正恩(キム・ジョンウンウン)総書記の兵器級核物質生産施設の視察を報じ、遠心分離機設備が並ぶウラン濃縮施設の内部写真を公開した。その際、正恩氏が、「ここは見るだけで力が出る」と述べたと報じた。北朝鮮は2010年、米国の核物理学者シグフリード・ヘッカー博士を招待して寧辺(ヨンビョン)核団地のウラン濃縮施設を見せたことはあるが、その施設を公開したのは初めてだ。

北朝鮮が秘密裏に運営していたウラン濃縮施設を公開したのは、米大統領選挙を約50日後に控え、核兵器用の高濃縮ウラン(HEU)の大量生産能力を誇示する対米武力示威とみられる。正恩氏は、「核兵器の指数関数的増大」を叫んできた。よく整備された工場内部に数千台の遠心分離機が並ぶ姿を通じて、対米脅威が言葉だけではないことを示そうとしたのだ。さらに、正恩氏は、「すでに完成段階に達した新型遠心分離機導入事業」にまで言及した。北朝鮮の核を放置すればするほど、より大きな脅威になるという警告だ。

そのような警告に込められた対米メッセージは複合的だ。今後、非核化や核廃棄は期待するなと釘を刺す一方で、密かに交渉の可能性も示唆している。ウラン濃縮は、プルトニウム再処理よりも密かに核物質を大量生産できる方法だ。2019年のハノイ米朝首脳会談が物別れに終わったのも、寧辺以外に隠された施設の廃棄をめぐって対立したためだ。今回、ウラン濃縮施設を公開したのは、その存在を基に対話を始めることができるという、さらに核凍結を前提に軍備管理交渉を行うことができるというシグナルと読み取れる。

北朝鮮は脅迫と餌の2つを同時に投げて米国の大統領選挙を揺さぶりたいのだ。核能力の誇示は、バイデン政権の政策の失敗を浮き彫りにできるという点で、トランプ前大統領に対する援護射撃の性格が強い。ただ、ハリス副大統領も北朝鮮核解決策のかなりの部分を空白のままにしているため、今後の政策方向に影響を与える狙いも多分にある。このような常套手段に米国が簡単に翻弄されることはないだろうが、韓国としては綿密に警戒しなければならない。ますます水位を上げてくる挑発への対応に加え、米大統領選挙後の政策調整まで準備する必要がある。