イスラム教シーア派組織ヒズボラが拠点とするレバノンの各地で17日(現地時間)、「ポケットベル」タイプの通信機器数百個が同時多発的に爆発した。これにより、8歳の子どもを含む少なくとも9人以上が死亡し、2750人以上が負傷した。レバノン保健省によると、負傷者のうち約200人は重体で、死亡者はさらに増えるものとみられる。ヒズボラとレバノン政府は、イスラエルによる犯行と見ている。特にヒズボラは報復を示唆しており、大規模な武力衝突への懸念が高まっている。
AP通信などによると、17日午後3時半ごろから1時間ほど、レバノンの首都ベイルート、南部ティレ、東部ベッカー、西部ヘルメルなど主要地域で通信機器が爆発した。レバノンと国境を接するシリアの首都ダマスカスでも爆発が発生した。AP通信は、死傷者の多くがヒズボラのメンバーとみられると伝えた。イランの国営IRNA通信は、イランのモジタバ・アマニ駐レバノン大使も今回の爆発で軽傷を負い、病院で治療を受けていると伝えた。
ヒズボラは今年2月、イスラエルの位置追跡、盗聴、ハッキングなどを懸念し、メンバーに携帯電話を使用しないよう命じたという。昨年10月7日に勃発したイスラエルとパレスチナ武装組織ハマスの戦闘後、ヒズボラもイスラエルと武力衝突を繰り広げており、イスラエルのヒズボラに対するサイバー攻撃が拡大したためだ。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、ヒズボラは最近、3千個以上の通信機器を台湾のメーカー「ゴールド・アポロ」から購入した。また同紙は、欧米の当局者の話として、イスラエルがこの通信機器に少量の爆発物と遠隔起爆装置、爆発の直前に数秒間信号音を出すプログラムを仕込んだと報じた。ロイター通信も、レバノンの情報筋などを引用して、イスラエルの情報機関モサドが数ヵ月前に、ヒズボラが輸入した通信機器約5千個に爆発物を仕掛けたと伝えた。
今回の爆発事件で、イスラエルとヒズボラの全面衝突の可能性が高まったと懸念されている。7月31日にイスラエルの攻撃でハマスのイスマイル・ハニヤ政治局長がイランの首都テヘランで死亡した後、イスラエルとヒズボラは衝突してきた。ただ、先月25日、イスラエルが戦闘機100機を動員し、ヒズボラも無人機(ドローン)とロケット320発を発射して衝突して以降、大きな衝突がなく、これにより全面衝突の可能性は低くなったものとみられていた。
趙은아 achim@donga.com