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「医学部生は試験さえ受ければ進級」その場しのぎの処方で防げる危機ではない

「医学部生は試験さえ受ければ進級」その場しのぎの処方で防げる危機ではない

Posted September. 25, 2024 09:09,   

Updated September. 25, 2024 09:09

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カトリック大学医学部を含む一部の医学部が、医学部増員に反発して授業拒否をしている医学部生に対し、「授業に出なくても、試験さえ受ければ進級が可能だ」と公示し議論となっている。医学部は元々、1科目でも落第すれば、全体の学年をやり直さなければならないほど、学事運営が厳しい。ところが教育交付金の支給権限を握っている教育部が、「集団留年はできない」と圧迫すると、一時的特恵を許容する苦肉の策を出したのだ。

教育部が、全国40の医学部に対し、留年不可の原則を明らかにしたのは今年7月だ。医学部生たちの1学期の授業拒否で留年が確実となると、留年の判断時期を学年末に先送りし、F単位がつけられても留年させないという内容の「医学部学事の弾力的運営ガイドライン」を出した。集団留年時は、来年から3000人規模の医師の輩出が途絶え、1年生は、増員される新入生まで7500人が6年間一緒に授業を受けなければならない事態を勘案した措置だった。予期せぬ状況が発生した時、常識的な政府ならばあらかじめ準備しておいた「プランB」を施行したり、現実的な条件を勘案して政策を見直さなければならない。そうせずに無条件に増員政策を固守した結果、「授業に出なくても進級」という荒唐無稽な対策まで出すことになったのだ。

教育部の思い通りに医学部の学則を緩和しても、集団留年を防ぐことは難しそうだ。政府の相次ぐ救済策にもかかわらず、全国医学部の2学期の登録率は3.4%に止まるなど、学事の異常が続いている。このまま来年になれば、状況はさらに悪化する見通しだ。医学部増員政策が変わらない限り、医学部増員に反対して学校から離れた学生たちが復帰するという保障がないだけでなく、新入生たちも劣悪な教育条件に抗議し、先輩たちの授業拒否に参加する可能性が大きい。定員が増えず、相対的に教育環境のよい首都圏の医学部への進学を狙って、休学後に浪人を選ぶ学生も増えるだろう。来年も1年生が集団で留年すれば、その時の医学部教育はどうなるだろうか。

今直面している医療大乱も問題だが、医学部教育の異常による後遺症は、長期的に医療体系に取り返しのつかない悪影響を与えることになるだろう。医学部の増員は、医療質の改善のための手段であるにもかかわらず、医学部の増員自体が目的になっているため、医療の質は悪化し、医師養成システムも揺らいでいる。致命的な本末前途にいつまで固執するのか。ただ、入試日程が進み、増員が取り返しのつかないことになれば、事態は解決するだろうと願っているだけではないだろうか。