イスラエルが、イスラム教シーア派組織ヒズボラの拠点であるレバノン南部を中心にレバノン全域を攻撃し、23日(現地時間)だけで少なくとも492人が死亡し、1645人が負傷した。死亡者の中には子ども35人と女性58人が含まれており、重傷者が多く、死亡者は増えるとみられる。AP通信などは、2006年にヒズボラがイスラエル兵士を拉致して勃発したいわゆる「34日戦争」後、イスラエル軍の空爆でレバノンで最も多くの死者(1191人)が発生したと伝えた。
イスラエル側がレバノンへの攻撃を続けることを示唆する中、ヒズボラも「最後まで戦う」と明らかにし、両者の交戦が激化し、全面戦争に拡大する懸念も高まっている。特に、イスラエルは「地上軍投入」の可能性にも言及し、事実上、イスラエルがヒズボラに対する潰滅作戦に入ったという分析が力を得ている。
タイムズ・オブ・イスラエルなどによると、イスラエルは今回のレバノン空爆作戦を「ノーザンアローズ(北の矢)」と名付けた。同日、イスラエル軍はレバノン全域を650回以上空爆し、ヒズボラ関連の1600以上の標的を攻撃した。また、レバノン国民に安全な場所への避難を促すテキストメッセージを送信するなど、空爆の強度が大きくなることを示唆した。
イスラエルのネタニヤフ首相は23日、「北部で力のバランス、安全保障のバランスを変えることを約束する」とし、「イスラエルの政策は彼ら(ヒズボラ)を待つのではなく、脅威を先制的に制圧することだ」と明らかにした。引き続きレバノンに対する空爆を拡大していく考えを示したとみられる。イスラエル軍のダニエル・ハガリ報道官も、「レバノンへの地上侵攻の準備ができている」と明らかにした。ヒズボラは反撃の意志を強調し、23日、イスラエル北部を中心にロケットと無人機(ドローン)を250発発射したが、イスラエルに大きな打撃を与えることはできなかった。
レバノン全域が事実上の戦時状態になり、主要国の自国民撤退の動きも加速している。すでに自国民に撤退を勧告した米国と中国に続き、ドイツ、イラン、カタールなどもレバノン便の航空機運航を停止したり、停止期間を延長することを決めた。
趙은아 achim@donga.com