ウクライナが24日、主要激戦地である北東部ハルキウ州ボウチャンスクで特殊部隊を投入した「白兵戦」を繰り広げ、ロシア軍が今年5月から4ヵ月間占拠していた骨材工場を奪還したと明らかにした。同日、ウクライナのゼレンスキー大統領とロシアのネベンジャ国連大使は、米ニューヨークの国連本部で開かれた国連安全保障理事会(安保理)特別会合で衝突した。
ウクライナ国防省などによると、奪還した工場は、これまでロシア軍のハルキウ州内の拠点として使われていた要衝地だ。ロシア軍は、コンクリート建築物30数棟と鉄製構造物で構成されたこの工場が防御に適していると考え、拠点として活用していたとみられる。
ウクライナ側は奪還した工場に国旗を掲げた写真も公開し、世論戦に乗り出した。AP通信はこれをめぐって、電力の劣勢にもかかわらず、ウクライナが最後までロシアに立ち向かうということを欧米に示し、追加支援を要請する狙いがあると指摘した。
ただし、ロシア軍の攻撃も続いている。州都ハルキウでは同日、民間人が居住するアパートがロシア軍の空爆を受け、少なくとも3人が死亡した。
ゼレンスキー氏は同日、国連安保理特別会合で、「ロシアのプーチン大統領は、多くの国際規範やルールを破ってきたので、自ら戦争をやめることはできない」と述べた。このようなロシアが自ら平和を講じることはないため、国際社会が平和を強制しなければならないと主張した。特に、ロシアに兵器を支援する北朝鮮とイランをロシアの「共犯者」と指摘し、「北朝鮮とイランの兵器を利用してロシアがウクライナ人を殺す権利はない」と非難した。
CNNによると、ゼレンスキー氏は25日、国連総会の一般討論演説でも西側の追加兵器支援などを訴える演説を行う計画だ。26日、ワシントンのホワイトハウスでバイデン米大統領と首脳会談を行い、「数ヵ月内の北大西洋条約機構(NATO)加盟」などを含む勝利計画も公開する。
会場にいたネベンジャ氏は、ゼレンスキー氏の発言を聞かず、携帯電話を取り出すなどした。ネベンジャ氏は今年9月、安保理議長国兼NATO加盟国である東欧スロベニアが当初の日程になかった会議を追加し、ゼレンスキー氏に「コンサートの舞台を与えた」と批判した。
プーチン氏に代わってロシアのラブロフ外相が28日、国連総会で演説する。プーチン氏は2015年以降、国連総会に参加していない。
トランプ前大統領は同日、主要激戦州であるジョージア州サバンナでの選挙集会で、ウクライナ戦争の出口戦略が必要だと主張した。ウクライナの勝利まで支援する考えを明らかにしたバイデン氏とは異なり、再選すればウクライナ支援を減らすか中止するという意味とみられる。
トランプ氏は、ナチスドイツの独裁者ヒトラー、フランスのナポレオン皇帝もロシアに勝てなかったとし、「彼ら(ロシア)が勝ったらどうするのか」と反問した。また、ゼレンスキー氏が米国に来るたびに大規模な支援を受けているとし、「偉大なセールスマン」と揶揄した。
洪禎秀 hong@donga.com