Go to contents

中東全面戦争の危機、安全保障・経済への影響にしっかり備えなければ

中東全面戦争の危機、安全保障・経済への影響にしっかり備えなければ

Posted October. 01, 2024 09:27,   

Updated October. 01, 2024 09:27

한국어

イスラエル軍が先月27日、レバノンの首都ベイルート郊外にいたヒズボラの最高指導者ナスララ師を殺害した後も軍事作戦を続けている。29日にはイエメンの武装組織フーシの軍事施設を戦闘機で破壊し、30日にはベイルート中心部まで狙ってパレスチナ武装組織の施設を無人機で爆撃した。昨年10月、パレスチナ・ガザ地区を支配する武装勢力ハマスがイスラエルに奇襲侵入し、民間人1200人を殺害し、250人を拉致したことで始まったいわゆる「第5次中東戦争」が、イスラエルと汎イラン勢力との全面戦争というよりも深い泥沼に突き進む危機に陥った。

全面戦争に拡大するかどうかは、ヒズボラ、ハマス、フーシの反イスラエル軍事行動に兵器と資金を提供してきたイランの選択にかかっている。イランの国家最高指導者ハメネイ師が、「この地域の運命は抵抗勢力により決定され、その先頭に立っているのがヒズボラだ。全てのイスラム教徒はレバノン市民と誇り高きヒズボラがイスラエルに立ち向かうため、あらゆる手法で協力する義務がある」と述べた。強硬対応指示なのか、ヒズボラが前面に立ち、イランは後方支援程度にとどまるということなのかは明らかではない。全面戦争か状況維持かの岐路に立っている。

今回の中東戦闘の最大の特徴は、イスラエルの攻撃性だ。3度目の執権後、強圧政治で窮地に追い込まれたネタニヤフ首相が、自身の政治的失敗を戦闘拡大で突破しようとしていると指摘されている。今回の3回の空爆の際にも、友好国であり、平和仲裁の努力をしている米国に事前通知すらしなかったという。

このような「米国パッシング(素通り)」は、米国の変化した位相と無関係ではない。米国は過去のように海外紛争に介入する意思も能力も低下した状態だ。米国内のシェールガス開発に成功した後、中東の石油依存が減り、「外国を助ける金があれば国内に使う」というトランプ式外交原則が通用したことで、軍事介入がより難しくなった。圧倒的だった米国の力が弱まった今、中東では不確実性がかつてないほど大きくなった。

中東情勢が与える影響は複雑だ。韓国の国内産業がすぐには大きな影響を受けないとしても、全面戦争が勃発して長期化すれば、原油価格は暴騰し、原材料価格の上昇も続く。インフレ圧力が高まり、わずか2%台に低下した物価上昇率を揺るがすことになる。金利と為替政策も不安定になる可能性がある。原油需給安全網の構築、代替ルートの確保などを再点検する必要がある。

米国が軍事介入を選択すれば、韓国は派兵や兵器提供などを求められるだろう。適切な貢献は避けられない。しかし、イランやヒズボラなどが韓国を敵対的な国と規定する恐れがあり、その場合、韓国国内の世論は分裂する可能性がある。政府が状況管理に万全を期さなければならない理由だ。