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核抑止力だけじゃない、半導体抑止力もある

核抑止力だけじゃない、半導体抑止力もある

Posted October. 04, 2024 10:28,   

Updated October. 04, 2024 10:28

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人口2300万人の小さな島国、台湾が英国の経済誌「エコノミスト」の表紙を飾ったことがあった。2021年5月1日付、タイトルは「地球上で最も危険な場所」だった。

台湾統一を狙う中国の脅威が高まった時期だった。パンデミック後、世界が半導体需給難に見舞われた時でもあった。エコノミストは、「台湾は半導体産業の心臓部」であり、「世界で最も価値あるチップメーカーであるTSMCは最先端チップの84%を製造している」と書いた。台湾が戦争に巻き込まれれば、この地域だけでなく、世界経済全体に危機が訪れる可能性があることを警告したのだ。

TSMCは、実際に成熟プロセスから当時最先端だった5ナノプロセスまで、アップルやクアルコム、インテル、NVIDIA、ブロードコムなど、米国の主要情報技術(IT)企業のほとんどの半導体を製造・納品していた。事実上、「米国の半導体工場」と言っても過言ではなかった。米国は中国の相次ぐ警告にもかかわらず、台湾の独立を守るために積極的に関与した。両国の合同訓練を公開し、ペロシ下院議長(当時)など大物政治家が相次いで台湾を訪れた。

先週出席した大韓商工会議所・韓米協会の「韓米産業協力カンファレンス」で、意味深い発言を聞いた。テーマ発表をした成均館(ソンギュングァン)大学化学工学科のクォン・ソクジュン教授は、米大統領選による産業界への影響を分析し、「2030年になると、台湾を含む東アジア地域内の米国の半導体依存度が一定水準に下がるため、台湾問題など地政学的リスクに関与する可能性が低くなり得る」と指摘した。

これは、バイデン政権になって米国に着工した韓国と台湾の半導体ファブがほとんど2030年までに安定的な生産に入ることを想定したものだ。米国は、半導体需給難以降、半導体サプライチェーンを自国化するために懸命に努力してきた。最近のインテルの危機とサムスン-TSMCのファブ建設の遅れにもかかわらず、米政府が断念することはないだろう。

クォン氏の指摘は台湾を念頭に置いたものだが、米中戦線のもう一つの最前線である韓国にも示唆するところは同じだ。韓国は、米国の長年の軍事同盟を超え、今や先端戦略産業を中心とした経済安全保障同盟になった。しかし今後、米国内で「米国第一」の世論が高まり、世界の警察としてのリーダーシップよりも自国の安危が優先されれば、韓国には地政学的にも経済的にも不安要素となることは避けられない。

米国の半導体工場として台湾が中国の脅威から自国を守るように、韓国の半導体も単なる産業以上の意味を持つ。台湾が韓国と異なる点があるとすれば、台湾の政府と与野党、国民世論は様々な政治的対立にもかかわらず、少なくともこの問題に対しては一致団結してきたという点だ。2029年まで研究開発(R&D)比税額控除25%を保証する台湾版チップス法が、与野党の異論なく超速で国会を通過した。TSMCが工場を建設する地域には、政府が自ら発電所と再生水工場を新設した。

核兵器を保有することで相手の挑発を抑止する核抑止力と同様に、産業関連性が緊密化する時代になればなるほど、先端産業の抑止力は大きくなるだろう。米国をはじめとする主要国にとって韓国の半導体が不可欠な存在になる時、私たちは強大国間の緊張の中で鍵を握ることができる。