韓米両国が、来年から2030年までの5年間適用される「第12回防衛費分担特別協定(SMA)」に合意した。これにより、韓国は来年、在韓米軍の駐留経費として今年より8.3%増の1兆5192億ウォンを負担する。韓国政府は、11月の米大統領選挙を33日後に控えた4日、今回の合意内容を発表した。今年4月に両国が交渉に着手してから半年での妥結だ。トランプ米前大統領が再選した場合、バイデン政権でこれまで進められた協議を無視する可能性が高いため、韓米両国は合意文の作成にスピードを上げたとみられる。ただ、トランプ氏が当選した場合、再交渉を要求する可能性があるため、「トランプリスク」が完全に消えたわけではない。
韓国外交部が同日公開した第12回SMAの合意内容によると、韓米は毎年防衛費分担の引き上げ率を物価上昇率に連動させることを決めた。2021年の第11回交渉で初めて国防費増加率に連動させることで合意して適用してきたが、今回再び物価上昇率に合わせることで合意したのだ。政府が同日配布した資料によると、物価上昇率を適用した場合、5年間の防衛費増加率は14.9~19.5%水準で、国防費増加率連動時(26.7~31.6%)よりも増加幅が最大15ポイント以上少なくなると予想された。韓米両国は今回、年間防衛費増加率が5%を超えないようにする「増加率上限線」も再び導入した。
米大統領選を前に韓米SMA交渉が妥結されたことで、韓国政府内では、「米国の政治的状況に関係なく、敏感な防衛費問題を安定的に進めていく根拠を設けた」と評価した。政府消息筋は、「これまで防衛費合意後に再交渉を行った前例がない」とし、「トランプ氏が政権を握っても合意自体を簡単に揺るがすことはできないだろう」と話した。
ただ、「トランプ政権1期」当時、分担金の5倍増額を要求したトランプ氏がホワイトハウス入りした場合、再交渉を主張する可能性もある。トランプ氏は4月の米誌タイムのインタビューで、米国に有利な条件が多数反映された第11回SMAの合意結果に対しても「意味がない」と不満を示した。SMAは、韓国では国会の批准を受ける「条約」だが、米国では国会の批准が必要ない「行政協定」だ。
申晋宇 niceshin@donga.com