米国で「男女同一賃金」のアイコンとされる女性活動家のリリー・レッドベターさん(86)が12日(現地時間)、老衰のため死去した。
1938年、米アラバマ州ジャクソンビルで生まれたレッドベターさんは、結婚後、育児と家事に専念し、41歳の時にタイヤ製造企業のグッドイヤーに管理者として採用された。平凡な会社員だったレッドベターさんに変化が訪れたのは、退職を間近に控えた98年、郵便受けで従業員の給与リストが書かれた匿名のメモを見つけたときだった。当時、レッドベターさんの給料は3727ドルだったが、メモによると、同じ役職の男性社員14人の給料はそれより559ドルから1509ドル多かった。レッドベターさんは当時、「息が止まるような屈辱を感じた」と振り返った。
翌年、レッドベターさんはアラバマ州連邦裁判所にグッドイヤーを相手に「会社の性差別で受け取れなかった賃金を返してほしい」と訴訟を起こした。裁判所は、グッドイヤーさんに未払い賃金と損害賠償を合わせて380万ドル(約51億6千万ウォン)を支払うよう判決を下したが、控訴審でこの決定が覆され、事件は最高裁まで行った。2007年、最高裁は判例に言及し、「最初の不平等給与を受け取った日から180日以内に請求すべきだった」とし、最終的にグッドイヤーに有利な判決を下した。
しかし、当時、米国の法曹界で「進歩の象徴」と呼ばれたルース・ベイダー・ギンズバーグ最高裁判事が少数意見を提示し、新たな突破口が開かれた。ギンズバーグ氏は、「180日という期間は少数派集団にとって短すぎて不公平だ」とし、議会に立法を求めた。
09年、議会は訴訟期限を2年に延長した「リリー・レッドベター公正賃金法」を可決し、同年1月29日、就任したばかりのオバマ大統領が「第1号法案」として署名したことで有名になった。レッドベターさんは08年と12年に民主党全国大会の演説の舞台に立った。レッドベターさんの自叙伝は国内でも出版された。今月10日にはレッドベターさんの人生を描いた映画「リリー」が米国で公開された。
オバマ氏は13日、「レッドベターさんはパイオニアになろうとしていたわけではなく、ただ一生懸命働いた対価として男性と同じ給料を得たいだけだった」と故人を称えた。CNNなどは、昨年基準、米国の正社員女性労働者の中間所得は男性の84%にとどまり、依然として男女の賃金格差が存在すると指摘した。
洪禎秀 hong@donga.com