イスラエルのネタニヤフ首相が9日、バイデン米大統領との電話会談で、イランに対する報復措置について、イランの軍事及び情報施設を攻撃する考えを伝えたと、米紙ワシントン・ポストなどが14日、報じた。当初、一部ではイランの核や石油の施設の攻撃を取り上げたが、11月5日の米大統領選挙を前に、国際原油価格の上昇や紛争拡大を懸念したバイデン氏の強い説得で、イスラエルが報復のレベルを下げたという分析もある。イランは1日に、イスラエル本土を弾道ミサイルなどで空爆し、ネタニヤフ氏は「強力な報復」を予告していた。
バイデン政権関係者は、この決定をめぐって「中東の紛争拡大を防ぎ、潜在的な原油価格の上昇を避けるためにホワイトハウスが要請した」と明らかにした。バイデン政権が13日、イスラエルに「高高度迎撃防衛ミサイル(THAAD)」を追加配備し、これを運用する約100人の米兵を派遣すると明らかにしたのも、ネタニヤフ氏が「イランの核・石油施設を攻撃しない」と明らかにした後だったと、同紙は伝えた。つまり、イスラエルがイランに対する報復のレベルを下げ、これに対する補償として米国が2019年に続き2度目のTHAAD配備を行ったということだ。
ただし、イスラエルの報復時期については、イスラエル内部でも意見が分かれている。バイデン政府とイスラエルは、今回の事案が米大統領選に影響を及ぼさないよう苦慮している。ただ、あるイスラエルの消息筋は同紙に、イスラエルが何の措置も取らないとイランに「イスラエルが弱体化した」というシグナルを与えかねないとし、「米大統領選前に報復が行われるだろう」と指摘した。
ネタニヤフ氏がバイデン氏にした発言を覆す可能性もあるとみられている。オバマ政権でイスラエル・パレスチナ交渉特使を務めたフランク・ローウェンスタイン氏は、米紙ウォールストリート・ジャーナルに、「ネタニヤフ氏がバイデン氏の前では大統領が聞きたかった言葉を言ったが、(核心支持層である)イスラエル極右派の反発に押されて発言を変えたことは一度や二度ではない」と述べた。
イスラエルは、パレスチナ武装組織ハマスが支配するガザ地区、親イラン武装組織ヒズボラと地上戦を繰り広げているレバノンにも連日猛攻撃を加えている。米紙ニューヨーク・タイムズなどによると、イスラエルは14日、昨年10月のハマスとの戦闘勃発後に避難所として使われていたガザ地区中部デイルアルバラの病院敷地を空爆し、少なくとも4人が死亡した。近隣のヌセイラトでも、避難民がいた学校を空爆し、少なくとも20人が死亡したと、ガザ地区保健当局が明らかにした。レバノン北部のアイトゥでも、イスラエルの空爆で少なくとも21人が死亡した。
イ・ギウク記者 イ・ジユン記者 71wook@donga.com