北朝鮮が最近改正した憲法に「大韓民国は敵対国」という表現を明記した。1972年に「平和統一」の概念を憲法に盛り込んだが、「敵対的な二国家論」を掲げたことで南北関係を完全に否定した。北朝鮮がロシアのためにウクライナに派兵したことが確認されている。相互軍事援助を明記した朝ロ軍事同盟を背にした北朝鮮が、韓国を敵と規定した憲法を大義名分に、来月5日の米大統領選挙を控えて対南・対米挑発に出るという観測が流れている。
北朝鮮の官営メディアである朝鮮中央通信は17日、15日に京義(キョンウィ)線・東海(トンへ)線を爆破したことを伝え、「大韓民国を徹底した敵対国家として規制した共和国憲法の要求」に基づく措置だと報じた。これに先立ち、北朝鮮は7~8日に最高人民会議を開き、憲法の一部を改正したと発表したが、具体的な内容は明らかにしなかった。今回、京義線など爆破の事実を伝え、改正憲法の内容を明らかにしたのだ。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記は1月、「韓国を『徹頭徹尾、第1の敵対国、不変の主敵』とみなす内容を(憲法に)明記せよ」と指示した。当時、正恩氏は「戦争が起こる場合には、大韓民国を完全に占領・平定・奪還し、編入させる問題」を憲法に反映させるよう指示したため、改正憲法にはこの内容が含まれたとみられる。
北朝鮮が憲法に対南敵対路線を明記したのは、米大統領選を前に韓半島危機のレベルを引き上げて状況を揺さぶろうという狙いがあるとみられる。政府情報筋は、「悪化した経済事情などで北朝鮮住民の不満が最近深刻化している」とし、「正恩氏が新冷戦の流れの中で、朝ロ軍事同盟という後ろ盾を頼りに孤立した状況を打開するための突破口を模索しているようだ」と話した。
申晋宇 niceshin@donga.com