「韓江(ハン・ガン)氏の作品を10年間、毎年学生に教えています。韓氏の文学的想像力は本当に驚くべきものです」
英オックスフォード大学英文学科で現代英文学、世界文学、批評理論などを教えているアンキ・ムケルジ教授(写真)は15日、東亜(トンア)日報の書面インタビューで、「ノーベル文学賞を受賞した韓氏の作品は、世界中のより多くの読者と出会い、称賛を受けるに値する。驚くべき才能を持った作家」と評価した。
10年前から毎年学生に韓氏の小説『菜食主義者』などを紹介して教えてきたムケルジ氏は、10日(現地時間)にノーベル文学賞受賞者が韓氏と発表されると、誰よりも喜び、X(旧ツイッター)で受賞ニュースを何度も共有した。米紙ニューヨーク・タイムズなど海外メディアもムケルジ氏が韓氏の作品を長い間講義してきたことに注目し、インタビューを行った。ムケルジ氏は同紙に、「韓氏の文章は身体の政治、ジェンダーの政治、国家と闘う人々の政治を含みながらも、文学的な想像力を決して逃さなかった」と指摘した。
2015年にオックスフォード大学英文学科の教授に就任したムケルジ氏は、その頃、英国出身の翻訳家であるデボラ・スミス氏が翻訳した『菜食主義者』を偶然目にし、作品の文学的価値をいち早く見抜いた。その後、英文学科の修士課程の講座「人道主義小説」で、『菜食主義者』をテキストとして学生に初めて紹介し、講義を始めた。人権や人道主義と小説の関係などを主に探求する講座だった。アジア文学自体も馴染みのない学生たちにとって、韓国作家の小説はさらに見慣れぬものだっただろう。しかし、一学期の講義が終わる頃には、学生たちは『菜食主義者』を最も興味深いテキストに挙げたという。
「菜食主義者である一人の女性が突然肉を避けながら、性的、政治的、芸術的に目覚めるというストーリーは実に面白かった。この小説は、どんな対象も神聖視することなく、とても面白く、シュールな面も備えている」。
2016年に韓氏が『菜食主義者』でマン・ブッカー国際賞を受賞し、韓氏の名前が知られるようになると、数年前から学生から『少年が来る』も講義してほしいという要望があった。ムケルジ氏は、「韓氏の小説は、国家的な出来事を読者に単に回想させる方法にとどまらない。国家暴力の犠牲者の人間性、欲望、記憶を慎重に再構成する作品だ」と指摘した。また、「作家が小説の中の人物のトラウマを極めて個人的に描写しながら、集団的な苦痛と生存形態に執着している点も興味深い」と評した。
ムケルジ氏は、「ノーベル文学賞受賞後も韓氏の作品をより幅広く紹介する計画」とし、「より多くの作品が翻訳され、世界中の読者と出会うことを期待している」と語った。
キム・ギユン記者 pep@donga.com