小説家の韓江(ハン・ガン)氏(54)は17日、ポニー・チョン革新賞の授賞式で、ノーベル文学賞授賞式の準備をすると話した。「現在執筆中の小説を終え、(ノーベル賞)受諾演説文の作成に集中する」と明らかにした。通常3~5分程度行われる受賞スピーチで、感謝の言葉と共に独自のメッセージを伝えるということだ。
ノーベル文学賞の授賞式は、毎年創設者であるアルフレッド・ノーベルの命日である12月10日(現地時間)、スウェーデン・ストックホルムのコンサートホールで開かれる。1800席のコンサートホールは、普段はクラシック公演などが行われるが、ノーベル賞授賞式の時は青いカーペットが敷かれ、授賞式会場に変わる。ノルウェーのオスロで行われるノーベル平和賞を除くすべての部門の受賞者は、ここでスウェーデンのカール16世グスタフ国王からメダルと賞状を受け取る。2000年にノーベル平和賞を受賞した故金大中(キム・デジュン)元大統領はオスロで賞を授与された。
韓氏は金メダルも受け取る。重さ175グラム、直径6.6センチ。1980年までは200グラムほどだった。18Kで製作されたメダルの表面に24Kのメッキが施されている。メダルの表面には、ノーベルの上半身の肖像とラテン語で出生した年と死亡した年が刻まれている。裏面の中央には、ギリシャ神話の女神であるミューズが歌う姿と月桂樹の下に座りながらそれを書き留める若い男がデザインされ、下には受賞者の名前が記されている。また、「見出された技術を通じて人間の生活を高めたことが喜びとなる」という意味のラテン語のフレーズも刻まれている。受賞分野によって、メダルに刻まれる模様が少しずつ異なる。
授賞式の直後には、近くのストックホルム市庁舎のブルーホールで祝賀晩餐会が行われる。晩餐会には、ノーベル賞受賞者とその家族、スウェーデン王室、政府や国会の代表者をはじめ、学生250人など約1300人が出席する予定だ。メニューはスカンジナビアを代表する料理で、当日の午後7時以降に公開される。
ブルーホールは、実際には青色ではなく、赤いレンガで囲まれている。建築家のラグナル・エストベリが赤レンガの色合いに惹かれ、青を塗るという当初の計画を断念したという。ホールの正面の壁には、パイプが1万2千本にも及ぶ巨大なオルガンが設置されている。
ノーベル賞授賞式はドレスコードも厳しい。男性は燕尾服、女性はイブニングドレスが原則だ。ただし、韓服のような各国の伝統衣装を着ることも認められている。1968年にノーベル文学賞を受賞した日本の作家・川端康成は、日本の伝統的な和服を着て授賞式に出席した。
ノーベル文学賞受賞者が感想を述べる「受諾演説文」は「耳で聞く文学」と言われるほど、言葉の真髄が込められる。1968年、69歳の川端康成は、白髪を輝かせながらノーベル賞の授賞式に立った。スピーチは、詩人・良寛の辞世の句を引用して始まった。「形見とて/何か残さん/春は花/山ほととぎす/秋はもみぢ葉」。川端康成の受賞スピーチは、「東洋の美学」という深い余韻を与えたと評価された。
受賞者は慣例により、講演も行う。授賞後、6ヵ月以内に公開講演に出なければならない。1993年に黒人女性として初めてノーベル文学賞を受賞したトニー・モリスンの講演も長く語り継がれている。「昔々、盲目の賢明な老婆が住んでいました」というフレーズで始まる講演は、言語の重要性と文学の未来を象徴的に表現したと評価され、聴衆のスタンディングオベーションが起こった。韓氏は、ノーベル賞受賞発表後、父親を通じて「戦争で毎日死体が運ばれてくるのに、何の祝い事ができるだろうか」と語っており、受賞の感想や講演に「反戦メッセージ」が込められるか注目される。
サ・ジウォン記者 4g1@donga.com