「ベトナムも家父長制の伝統が残っている儒教文化圏である上、戦争の痛みを経験しているため、韓江(ハン・ガン)作家の作品に誰よりも共感が大きいようです」
小説家の韓江氏がアジアの女性作家としては初めてノーベル文学賞を受賞すると、アジア諸国でも大きな関心が注がれている。特にベトナムでは、ホーチミン国立大学韓国学部が17日(現地時間)主催したセミナー「韓江と韓国文学の奇跡」に、学生と研究者、教師など600人余りが参加するなど大きな注目を集めた。
同日、討論者として参加した翻訳家のファン・ハイフン氏(46)は22日、東亜(トンア)日報の電話インタビューで、「学生たちに韓江の文学をどのように教えればいいか質問しようと思って、地方から出向いた高校の文学教師もいた」とし、「文学界だけでなく、映画界など様々な分野の学生たちが参加して驚いた」と雰囲気を伝えた。
ファン氏によると、ベトナムは韓氏の代表作である「菜食主義者」が海外で初めて翻訳された国だ。ソウル大学国語国文学科で修士課程を受講していたファン氏は、『菜食主義者』が出版された直後に翻訳に着手し、2010年に出版されたという。1996年にハノイ国立大学で韓国語を専攻し、韓国と縁を結んだファン氏は、「最初は韓国語・ベトナム語の辞書が無く、韓英辞典と英ベトナム辞典の両方をもって苦労して勉強したが、面白かった」と思い出した。
最近、ベトナムでは、韓氏の作品はもちろん、韓国文学が全般的に注目を集めている。ベトナムの主要メディアも、「韓国文学のグローバル化戦略」に何度も関心を示している。地元メディアは、韓国政府が文学翻訳と翻訳家育成を物心両面で支援し、外国人を対象に韓国語教育に長い間投資してきたことにも注目した。ファン氏は、「韓氏のノーベル文学賞受賞を機に、韓国文学に対する関心が幅広く続くことを期待する」と伝えた。
イ・ジユン記者 asap@donga.com