トランプ前大統領が、CNN放送の看板アンカーで性的マイノリティのアンダーソン・クーパー氏(57・写真)を女性の名前である「アリソン」と呼んで嘲笑した。米大統領選挙の投票日まで10日となるなか、核心支持層である保守の白人、福音主義キリスト教徒が性的マイノリティに否定的であることを念頭に、支持者を結集させる戦略とみられる。クーパー氏は、2012年に性的マイノリティであることを明らかにし、20年に代理母を通じて男児を得たことも公開した。
AP通信などによると、トランプ氏は25日、26日の両日、大統領選の主要激戦州であるミシガン州とペンシルバニア州の選挙集会で、クーパー氏を「アリソン」と呼んだ。トランプ氏は25日、ミシガン州トラバースシティでの演説中、クーパー氏が最近、ハリス副大統領をインタビューしたことを取り上げ、「アリソン・クーパーがハリスをインタビューした。アリソン・クーパーを知ってるか。CNNフェイクニュース」と発言した。
トランプ氏は同日、ソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」での投稿でも、「アリソン・クーパーでさえハリスの言葉を理解できなかった」とクーパー氏とハリス氏の双方を切り捨てた。
トランプ氏は翌日、ペンシルバニア州の集会でも同様の発言を繰り返した。AP通信は、この発言が性的マイノリティ男性を女性的に描写する典型的な固定観念を呼び起こしたとし、「大統領選の終盤で男性有権者の支持を引き上げようとする戦略」と指摘した。トランプ氏の陣営とクーパー氏側はいずれもこれに関する立場を明らかにしていない。
トランプ氏は、若い女性の支持率が高いハリス氏に対抗して、若い男性有権者も積極的に攻略している。トランプ氏は25日、総合格闘技(UFC)の解説などで若い男性リスナーに人気が高い有名ポッドキャスト司会者であるジョー・ローガン氏のチャンネルに出演し、3時間ほどインタビューを行った。ローガン氏のユーチューブとスポティファイのチャンネル登録者は、それぞれ約1700万人、約1500万人にのぼる。ハリス氏もかつて出演を打診したことがある。
キム・ユンジン記者 kyj@donga.com