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韓江氏は肌に雪を当てて「冷たい」と書く

韓江氏は肌に雪を当てて「冷たい」と書く

Posted October. 31, 2024 08:44,   

Updated October. 31, 2024 08:44

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小説家の韓江(ハン・ガン)氏(53)のノーベル文学賞受賞のニュースが伝えられてから半月以上経った。17日のポニー鄭(チョン)授賞式を最後に公開活動を控えている韓氏は、新作の執筆に集中している。来年上半期の出版が目標だ。「最も好きなことは、書きたい小説を頭の中で思いめぐらす時間」という韓氏が、再び最も好きな時間を過ごしている。

小説を書く韓氏の「本当の生活」はどのようなものなのだろうか。これまで韓氏と仕事をした編集者たちと韓氏の過去の発言から再構成してみた。

●体験型の執筆

韓氏の文章で際立つのは、実際に経験しているような生き生きとした描写だ。『別れを告げない』(文学トンネ)では、視覚と聴覚、触覚を駆使して雪を描写する。韓氏は、2021年の出版当時、ブックトークで、「雪が降るたびに外に出て雪を拾って溶けるまで見たり、どれだけ寒くなるかを感じた」とし、「雪が降り始めるとタクシーに乗って近くの山に行き、狂った人のように登山道を外れて迷ったりもした」と語った。

風が吹く真夜中には川沿いの道を歩き、肌の上で雪が溶ける感覚を確かめた。その記憶は作品の中で次のようなフレーズで蘇った。「濡れた糸のようにフロントガラスにくっつく雪の結晶」、「終わりに近づくにつれて静寂に似ていく音楽の終止符のように、誰かの肩に乗せようとしてそっと下ろす指先のように」。

韓氏は、作品中の状況に完全に没頭するために、自ら「独特な」行動をとることもある。人里離れた家が停電したときのろうそくの明るさを確かめるために、ボイラーセンサーなどを覆ったり、冷蔵庫のコードまで抜いたりした。洞穴の中の感触を知るために、机の下にもぐりこむこともあったという。

直接体験できないときは「勉強」に励んだ。5・18光州(クァンジュ)民主化運動を扱った『少年が来る』(創批)を書く際、「900人の証言が入った口述集を完読した」と話した。韓氏は2020年アジア文学フェスティバルで「完読した後、何が起こったのか絵が大きく描かれた」とし、「口述資料を読んだ後、事件を詳細に分析した本を読むという方法でスパイラル的に資料を読んだ」と話した。

●本の広報に乗り出すことも

韓氏は普段は小声で話すことが多いが、声が大きくなる瞬間もあった。『少年が来る』を出版した後、20回ほど公開講演を行い、自ら「宣伝」に乗り出した。韓氏は「この小説を広報しなければならないという一心」だったと明かした。それだけ作家にとって愛着のある作品なのだろう。

韓氏はオーディオブックの録音にも参加した。しかし、最初の章を録音したとき、誤った選択だと悟ったという。涙が止まらず、続けられなかったからだ。残りの部分は声優が録音し、韓氏はエピローグだけ録音したという。

●「私の白髪を補正しないでください」

代表作を集め、昨年出版されたスペシャルエディション『ザ・エッセンシャル』(文学トンネ)の表紙には、韓氏の顔が大きく掲載された。韓氏は写真家に、しわを消したり、白髪を消したりするような補正はしないでほしいと頼んだ。ありのままの姿を見せようとしたのだ。

作品の中の人物は、作家の分身のような存在だ。『別れを告げない』の主人公は小説家だ。食べることも眠ることもできず、悪夢に悩まされている姿で登場する。普段の韓氏もこのように不安定なのだろうか。韓氏はこう言う。「私自身を切り離して登場人物に与えることもありますが、100%私だと思わないでほしいです」。


キム・ソミン記者 somin@donga.com