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民心と世論に耳を閉ざした与党の最後

Posted November. 04, 2024 09:03,   

Updated November. 04, 2024 09:03

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「私たちを裏金政党だと言うが、民主党はなんと2億円(約18億ウォン)を受け取ったのではないですか」

日本の衆議院選挙(総選挙)直前、東京のある街頭演説で自民党関係者がマイクを握り、こう叫んだ。韓国でも日本でも選挙の演説では、党関係者、地方議会の政治家などがギリギリの発言をし、雰囲気を盛り上げる。報道された石破茂首相の野党批判は、少なくとも「トーンダウン」した発言だった。報道されていない野党批判はもっと多く、水位も高かった。

自民党が取り上げた「民主党裏金2億円」は2009年に遡る。鳩山由紀夫首相(当時)が政治資金報告書に虚偽記載した献金が2億円にのぼるという問題が発生した。政権交代後、就任9ヵ月で辞任するきっかけとなった大きな事件だった。

日本国民は昨年から発覚した裏金問題に厳しい視線を送っているが、自民党は「15年前の野党の方が汚かった」「民主党政権がどれほどひどかったか覚えていないのか」と野党を批判した。私の目には汚れた与党が野党を非難して票をくれと言うのだから、国民が好意的に見るはずがない。

有権者が背を向けたことは、街頭演説の場で肌で感じることができた。駅近くの商店街での演説で「民主党2億円」発言が出ると、遠くから腕を組んで演説を聴いていたある男性は「何を言っているんだ」とつぶやきながらその場を去った。3週間前まで首相として毎日テレビに出ていた岸田文雄氏が演説をすると党のホームページに告知されていたにもかかわらず、数十人で満員になりそうな選挙カーの前の狭いスペースさえもガラガラだった。党関係者と思われる人たちが、「今、岸田前首相が演説しています」と声を張り上げても、通行人はあまり関心を示さず、足を止めなかった。

「遊説場では演壇の前ではなく、遠くの外を取材しなければならない」。 韓国の政治部記者の間で通用する格言は、日本も例外ではなかった。演壇の前は、何を言っても反応してくれる党関係者や熱烈な支持者が占める。自民党が好調だった時代には、演壇の外に人が集まり、大きな円が3周、4周できたという。今回は、石破氏が来てもやっと1周になるかどうかだ。首相クラスの有名な演説者が来ないとその程度だった。東京都心部で出馬した自民党の裏金に関与した議員が、たった一人の聴衆もなく、虚空に向かって演説する姿を記者は目撃した。

安倍晋三元首相の時は、金融緩和と財政支出で景気浮揚を狙うアベノミクスで「不正はあっても経済は上手い」と評価されたが、今の自民党は経済も無能だった。21世紀の先進国でコメが手に入らない「コメ騒動」を経験し、5キロで2千円もしなかったコメの値段は3500円を超えた。韓国のように「ネギを振る」ような反発は見られなかったが、有権者は静かに投票所で票で審判した。

日本で自民党は単に特定の政派を代表する政党ではない。憲法を改正して戦争可能な国家にならなければならないという強硬な右翼から性的マイノリティの権利を擁護しなければならないという進歩的な有権者まで包含する自他公認の「国民政党」だ。永遠の政権与党としてすべての過ちが許されると思われた「絶対1強」の自民党でさえ、民心と世論に耳を閉ざしたため、惨敗の成績表を受け取ることになった。政党支持率(10月1日付朝日新聞)では、自民党33%、立憲民主党6%で比較は難しいが、体たらくな与党に警鐘を鳴らすというメッセージが込められている。自らの過ちを反省しない与党は、国を問わず審判を受けるのは当然だ。