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企業経営の足を引っ張る「商法改正」を強行するという民主党

企業経営の足を引っ張る「商法改正」を強行するという民主党

Posted November. 05, 2024 08:53,   

Updated November. 05, 2024 08:53

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最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は、今回の通常国会で「取締役の忠実義務」の対象を拡大する方向で商法改正を推進すると明らかにした。与党「国民の力」が推進する金融投資所得税の廃止に同意する代わりに、「証券市場の先進化」のために商法を直すという。問題は、法改正が取締役たちを相手取った訴訟の乱発へとつながり、民主党の立法趣旨とは真逆に企業価値を中長期的に毀損する可能性が高いということだ。

すでに民主党議員10人余りは、現在「会社」となっている商法の取締役充実義務の対象に「株主」、「総株主」などを追加する内容の商法改正案を提出している。与党は、李卜鉉(イ・ボクヒョン)金融監督院長が数回にわたり商法改正が必要だという意見を示したことを受け、「経営環境が急速に悪化するだろう」と経済界が反発しているため、明確な立場を決められずにいる。

経済界は、忠実義務対象を「総株主」などに拡大すれば、韓国企業が外部からの攻撃に弱い体質になると懸念している。一部の持分を確保した行動主義ファンドが、取締役会の決定を問題視して訴訟を乱発すれば、取締役たちは心理的に萎縮し、構造調整や買収合併(M&A)など重要な決定をするのに大きな負担を感じるという。小口株主の要求に押され、企業が未来のための投資の代わりに短期的な株価浮揚のための配当や自社株焼却にさらに多くの資源を使うことになる公算も大きい。

民主党は、株主が特定の取締役候補に集中して投票できるようにする「集中投票制」(日本の累積投票に相当)を強化し、大株主が定めた取締役の他に別途監査委員を置くよう義務付ける「監査委員分離選出制」も推進するという。先進国と違って、差等議決権といった防御手段が全くない状態で、このような制度が導入されれば、企業は経営権防御に過度なエネルギーを消耗することになるだろう。

最近、韓国内外のヘッジファンドが韓国大企業の持分を買い入れた後、取締役会構成の変更や配当の拡大を要求する例が急速に増えている。ただでさえ、企業は米中覇権戦争による貿易秩序の変化や人工知能(AI)発の産業構造再編など未曽有の挑戦に直面している。急変する状況に対処できるよう支援策を打ち出しても足りない状況下で、企業の意思決定を遅らせ、経営の足を縛る立法を推進することは深刻な悪手と言わざるをえない。