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文在寅氏の「粉飾」、尹大統領の「マッサージ」

文在寅氏の「粉飾」、尹大統領の「マッサージ」

Posted November. 07, 2024 09:42,   

Updated November. 07, 2024 09:42

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李明博(イ・ミョンバク)政権最後の年の2012年9月、企画財政部は「源泉徴収合理化」という聞き慣れない対策を打ち出した。簡易税額表の改定を通じて毎月徴収される勤労所得税額を減らし、家計収入を増やすという内容だった。「国債を出さなくても経済を活性化させることができる」という点で、当初は「妙手」と省庁内で評価された。しかし、この対策はすぐに「朝三暮四」論議に包まれた。税金を少なく払った分、年末の精算時に少なく戻ってくるという点で、結局、納税者の負担は同じだったからだ。当時、政府は「苦しい中、乾いたタオルを絞って設けた政策」と言ったが、実はここには表には出せない政治的意図が隠されていた。大統領選挙をわずか3ヵ月後に控えて、何とかして景気を活性化させようということだった。

このようなやり方は、次の政権で大きな問題に発展した。経済民主化を旗印に派手な福祉公約を掲げた朴槿恵(パク・クンヘ)政権は、その財源を確保するため、政権初年度から税法改正に乗り出した。勤労者税控除方式を所得控除から税額控除に転換したのだが、「高所得者の負担を増やした」という政府の説明とは異なり、中間層と給与所得者が納める税金が大幅に増えた。世論の反発に直面した政府は、「税率を上げなかったから増税ではない」、「ガチョウが苦痛を感じないように羽を少しだけ抜いた」といった言葉遊びで、むしろサラリーマンの怒りを増長させた。福祉拡大のために増税が必要だとか、国債を払わなければならないと国民を説得する正攻法ではなく、「ガチョウの毛を抜くように」こっそりサラリーマンの財布から金を引き出すことだけを考えたのだ。

政府が浅はかな手段で国民の目を欺くことは、驚くべきことに今まで続いている。最近、企画財政部は30兆ウォンの税収不足を埋めるため、外国為替平衡基金や住宅基金など各種基金を動員すると発表した。当初、政府は今年の予算を編成する際、兵士の給与と基礎年金の引き上げ、新空港建設などの対策を大量に盛り込んだ。しかし、税収が思うように集まらないと、外国為替市場の安定と庶民住宅福祉に使うべき資金に手をつけ、韓国銀行から150兆ウォンを超える借入金まで使う無謀(暴挙)に出た。それでも、「国債発行を避けたので健全な財政基調を守った」、「国債を大量に発行していた前政権とは違う」と自画自賛する。

しかし、このような自画自賛とは逆に、政府の「財政マッサージ」はむしろ過去の政権の雇用を膨らませたことを連想させる。文在寅(ムン・ジェイン)政権は、莫大な税金を動員して、高齢者と若者のための「雑用アルバイト」を数十万個作った。その結果、雇用数が増え、雇用率が上がるなど、いわゆる「見た目」は改善されたが、低賃金の非正規雇用だけが増え、良質な雇用は減り、雇用の質は低下した。自転車操業とマイナス通帳でやっと破産を免れたのに「国の財政をしっかり守った」と言うことと、予算を浪費して質の低い「税金アルバイト」を量産しておきながら自称「雇用の政府」と自画自賛すること。この2つを見る国民の失望の差はそれほど大きくはない。

文政権は、最低賃金の急激な引き上げと雇用の増加という相反する目標を達成しようとして、結局、統計の粉飾まで行った。そのような観点から見ると、右派政権で特にこのような「財政策略」が繰り返されるのも決して偶然ではない。健全財政と減税基調が政権勢力にとって一種のドグマ(独断的信念)になった状態で、ばらまき支出は支出通りにしようとして、官僚たちがこのような行き詰まった選択に追い込まれてしまうのだ。健全財政という大きな方向性は正しいが、これは国家経済を運用する一つの原則と考えるべきであり、それ自体が決して壊してはならない聖域になってはならない。最高位層からそのこだわりを捨てなければならない。