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コインの表と裏のような児童虐待と教権侵害問題

コインの表と裏のような児童虐待と教権侵害問題

Posted November. 11, 2024 08:42,   

Updated November. 11, 2024 08:42

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最近、あるテレビ番組を通じて、大邱(テグ)のある幼稚園の教師が6歳の子どもたちを暴行・虐待する様子が収められた防犯カメラの映像が公開された。画面の中に映し出された体格のいい成人男性教師が子どもたちを強く押し倒し、拳でみぞおちを殴る姿は視聴者の怒りを買うのに十分だった。被害児童は、家に帰っても親に教師の暴行を伝えることができなかったという。加害教師が、「先生にはお前たちが家で何を言っているのか全部見ることができるカメラがある」と言い、被害を親に知らせないようにしたからだ。

幼い子どもを持つ親として、接するたびに胸が締め付けられるニュースがある。それは「児童虐待」事件だ。その中でも教育機関での教師による児童虐待事件は、保護者に教権に対する不信感を植え付ける。実際、保健福祉部の統計によると、2022年の幼稚園・小・中・高校の教職員の児童虐待事例は1702件にのぼった。

しかし、教育現場での児童虐待と教権侵害の問題は表裏一体の関係だ。「我が子が教師から不当な扱いを受けたのではないか」と疑う保護者の一部は、不安に悩まされ、「線」を越えて悪質なクレイマーになる。これは、昨年ソウル瑞二(ソイ)小学校事件を機に韓国社会に浮上した教権侵害の事例を見れば分かる。

最近、全羅北道全州市(チョラプクト・チョンジュシ)のある小学校では、5年生の保護者2人が2022年から子どもの担任教師らに対して刑事告訴7回、行政訴訟3回、民事訴訟2回、情報公開16件を請求した事実が明らかになり、物議を醸した。保護者の悪質なクレームにより、担任教師はなんと6回も交代したという。ある教育関係者はこれを「公教育史上初の事態」と言った。

保護者の1人は徐巨錫(ソ・ゴソク)全北道教育監から告発までされた。今年だけで学校にそれぞれ61回、113回電話したという2人の保護者は、「悪質なクレームではない。保護者としてできる正当な要求だった」と主張しているという。

教師ももう我慢できない。教育部によると、昨年の小・中・高校の教権保護委員会(教保委)の開催件数は5050件で、前年より66%増加した。教保委は、教権侵害保護のための審議機構だ。

一部の非常識な教職員と保護者の行為は、今日も互いへの不信感を強めている。最近会ったある高校教師は、「児童虐待問題に重点を置くと教権が弱まり、教権に重点を置くと児童の人権が侵害され得るという点が悩みだ」と話した。

現場の教師たちは、「感情的児童虐待」と「正当な生活指導」の間に存在する曖昧さを解消することが解決策の一つだと指摘する。法曹関係者の間でも、児童福祉法第17条に明記されている「感情的児童虐待行為」の基準を誰もが明確に分かるよう具体的に示す必要があるという意見が多い。

政府と国会は、社会的な反感を買う児童虐待や教権侵害のニュースが流れるたびに、関連法を強化すると声を上げる。しかし、誰かを強く処罰するよりも、教権と児童保護の間のギャップを減らし、適切な均衡点を見つけることが解決策の核心でなければならない。そうしてこそ、保護者と教師間の信頼が回復し、教室でより良い教育が行われるようになる。