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米大統領選挙で明らかになった「カリフォルニア・リベラル」の没落

米大統領選挙で明らかになった「カリフォルニア・リベラル」の没落

Posted November. 15, 2024 09:25,   

Updated November. 15, 2024 09:25

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約3890万人が住む米カリフォルニア州の昨年の名目国内総生産(GDP)は3兆9千億ドル(約5460兆ウォン)だった。米国、中国、ドイツ、日本に次ぐ世界5位の経済圏で、インド、イギリス、フランスのGDPより多い。恵まれた自然環境、シリコンバレー、ハリウッド、スタンフォード、カリフォルニア工科大学、カリフォルニア大学バークレー校、カリフォルニア大学ロサンゼルス校などの名門大学があるおかげだ。

そのカリフォルニア州が人材流出に悩まされている。ビジネスインサイダーによると、2022、23年だけで69万1千人がこの地を去ったという。テスラ、オラクル、HP、パランティアなどの有力企業も本社を他の州に移した。治安不安、過度な規制とDEI(多様性・公平性・包摂性)政策の強要、高い税金や高物価などが原因に挙げられる。

多くの人がその発端として、14年に住民採決で可決された「プロポジション47」を挙げる。初犯の場合、950ドル以下の窃盗、単純麻薬所持などを軽犯罪として扱うという内容だ。収監施設の不足、州財政の悪化などが理由だったが、可決された当初から「犯罪を助長する」と懸念された。

その後10年間、州の各地で略奪や麻薬が横行した。死傷者が出なければ生計型軽犯罪として処理されるため、犯罪者の立場からすれば躊躇することはなかった。たとえ捕まっても保釈金なしですぐに釈放される人が大半だった。市民の不満が高まり、耐えられない人は州を去った。

ついには、プロポジション47が軽犯罪と定めた犯罪を再び重犯罪とする「プロポジション36」まで提出された。5日の大統領選挙と同じ日に行われたプロポジション36の住民採決は、69%の支持で可決された。法が犯罪を厳罰化するどころか、犯罪を助長する現実にうんざりした住民の厳しい審判だった。

このような結果から分かるように、米国の進歩陣営の本拠地であり、民主党の票田であるカリフォルニア州の民心は以前と同じではない。今回の大統領選で民主党大統領候補のハリス副大統領の支持率は、トランプ氏より20.5ポイント高かった。

2016年の大統領選で民主党の大統領候補だったヒラリー・クリントン元国務長官はトランプ氏より30.1ポイント、20年の時、バイデン大統領はトランプ氏より29.2ポイント多かった。カリフォルニア州で生まれ育ち、政治活動もずっとここで行ったハリス氏が、故郷でもなく、特に縁もない2人よりもはるかに少ない票しか獲得できなかったのだ。

ハリス氏は、サンフランシスコ地方検事、カリフォルニア州検事総長などを務めた際、警察予算の削減などを取り上げた。20年の民主党の大統領候補者選びの予備選挙の時も、ほとんどの不法移民を起訴しないと言った。今回の大統領選で、中道派の有権者を意識し、化石エネルギーなど一部の政策で「右寄り」を図ったが、本質的には骨の髄まで進歩的な政治家、つまり「カリフォルニア・リベラル」であることは否定できない。

ハリス氏は、今回の大統領選で、トランプ氏に全国得票率、大統領選挙人の確保数すべてで敗れた。民主党も、上・下院、知事選挙で共和党に完敗した。ハリス氏の大統領選敗北の要因は複数あり、すべてハリス氏の責任というわけではないが、一つの示唆を得ることができる。「カリフォルニア・リベラル」は、進歩的な傾向が強い一部の地域では通用するかもしれないが、全国単位の選挙では相当期間の苦戦が予想されるということだ。