「(ジネディーヌ)ジダンの試合映像を見たことがあるんだけど、きょう、君のプレーを見ながらジダンが思い浮かんだよ」
サッカー韓国代表の主将、孫興民(ソン・フンミン、トッテナム・ホットスパー)は15日、敵地で行われたクウェートとの2026北中米ワールドカップ(W杯)アジア3次予選試合が終わった後、後輩の黄仁範(ファン・インボム、28、フェイエノールト)を背中から抱きしめた後、このように話した。この日、2アシストで韓国の3-1勝利を導いたMF黄仁範がフランスの「レジェンド」ジダン氏のように見えたという話だ。現役選手時代に「アートサッカー」「マエストロ」などと呼ばれたジダン氏は1998年、自国開催のW杯で母国フランスを優勝に導いた。
黄仁範はクウェート戦の前半10分、鋭いクロスで呉世勲(オ・セフン、FC町田ゼルビア)が頭で決めた先制ゴールをアシストした。裵峻浩(ペ・ジュンホ、ストーク・シティ)が後半29分に決めた3点目も、黄仁範の絶妙なスルーパスから始まった。サッカーデータ専門サイト「SofaSocore」は得点選手ではない黄仁範に両チームを通じて最も高い「8.7点」の高評価を与えた。
黄仁範はパウロ・ベント氏(ポルトガル)が韓国代表を采配した2018年9月のコスタリカ戦(2-0の韓国勝利)で代表戦デビューを果たした。その後、豊富な運動量と積極的なプレスで高い評価を受け、主力の座を獲得し「ベント号の皇太子」とも呼ばれた。2022年カタールW杯では韓国選手の中で最も長い距離(4試合合計45キロ)を走り、韓国の16強入りに貢献した。
黄仁範は、洪明甫(ホン・ミョンボ)氏が代表監督に就任してから行った北中米W杯アジア3次予選の試合でも中核MFとしてプレーしている。黄仁範は3次予選5試合全てに先発出場した。SofaScoreによると、黄仁範は3次予選で韓国MFの中で最も多い13の「キーパス」(シュートでつながったパス)を成功させた。黄仁範はクウェート戦の勝利後、「代表チームは結果が良くなければ、非常に動揺する恐れがある。良い結果を出せるように引き続き努力するのが選手たちの義務」と話した。
2015年、Kリーグの大田(テジョン)でプロデビューした黄仁範は、2019年、米大リーグサッカー(MLS)バンクーバーに入団し、海外リーグに進出した。その後、ルビン・カザン(ロシア)、オリンピアコス(ギリシャ)、ツルヴェナ・ズヴェズダ(セルビア)などを経て、今年9月、フェイエノールト(オランダ)のユニホームを着た。オランダリーグは、これまで黄仁範がプレーしてきた欧州舞台の中で、欧州サッカー連盟(UEFA)のリーグランキングが最も高い6位のリーグだ。黄仁範の移籍市場価値(予想移籍金)は引き続き上昇している。2019年バンクーバーでプレーした時は120万ユーロ(約18億ウォン)だったが、先月は1000万ユーロ(約147億ウォン)を記録した。
黄仁範はフェイエノールト入団1ヵ月でオランダリーグ事務局が選定した10月のベスト11に選ばれた。フェイエノールトの司令官を務めている黄仁範は、今季リーグ8試合に出場し、2ゴール1アシストを記録している。2002年韓日W杯の時、韓国代表監督として韓国を4強に導いたフース・ヒディンク氏(オランダ)は、自国メディアとのインタビューで「黄仁範は試合でリーダーのように行動する姿が肯定的だ」と話した。
フェイエノールトのファンはすでに黄仁範のための応援歌を作った。応援歌の歌詞には「我々の韓国人黄仁範に誰も勝てない。北朝鮮の金正恩氏も同じだ」という内容が出ている。黄仁範は「外国人が僕のために応援歌を作ってくれて、僕が韓国人であるという歌詞も入れてくれてプライドを感じる」と話した。
鄭允喆 trigger@donga.com