「トランプストーム」に韓国経済が特に弱い理由
Posted November. 22, 2024 09:14,
Updated November. 22, 2024 09:14
「トランプストーム」に韓国経済が特に弱い理由.
November. 22, 2024 09:14.
.
米国の第2次トランプ政権の発足まであと2ヵ月となったが、すでにその衝撃が韓国経済を揺るがしている。経済の基礎体力を反映するウォン・ドル相場は1400ウォン台を超え、韓国企業の実力を示す総合株価指数(KOSPI)が2400を下回ったが、小幅に反発した。トランプ発の貿易戦争の最大の被害国とされる中国よりも下落幅が大きい。韓国を代表する企業である三星電子は、株価が4万ウォン台まで暴落すると、自社株10兆ウォンの買い戻しを電撃発表した。「トランプフォビア」が過度であるというよりも、米中二大市場と特定産業に依存する韓国経済の脆弱性を余すところなく露呈したのだ。自らを「関税マン(Tarriff man)」と称するトランプ氏の政権2期が始まれば、輸出で生計を立てている韓国は打撃を免れない。当面、すべての輸入品に10~20%の普遍関税と中国製に対する60%の関税爆弾公約が待っている。トランプ氏は、対中強硬派で関税政策の熱烈な支持者であるハワード・ラトニック政権移行チームの共同議長に商務長官だけでなく通商代表部(USTR)の司令塔まで任せ、より強烈な保護貿易措置を押し進める構えだ。米中対立とグローバルサプライチェーン再編の影響で対米輸出依存度が高まり、米国は21年ぶりに韓国の最大の貿易黒字国になった。第1次トランプ政権最後の年に166億ドルだった対米貿易黒字は、昨年455億ドルに増えた。米国の立場からすれば、韓国は8位の貿易赤字国だが、これを口実に露骨な通商圧力を加えたり、韓米自由貿易協定(FTA)の枠組みを揺るがす可能性がある。インフレ抑制法(IRA)と半導体支援法が廃止または縮小になれば、米政府の補助金の約束を信じて現地投資を行った韓国企業の被害が大きくなるだろう。いずれも半導体・自動車・バッテリーなど韓国の主力産業が対象だ。何よりも、トランプ氏の「中国叩き」が本格化すれば、韓国経済への連鎖的なショックが避けられない。以前ほどではないが、国内輸出で中国が占める割合は今年に入って19.2%で、米国(18.6%)を上回る1位だ。中国製の製品に関税爆弾を加えれば、中国に中間財を輸出する韓国も直撃を受けるほかない。韓国の対中輸出で中間財の割合は78%に達する。すでに中国の低価格製品の輸出で国内企業が苦しんでいる状況で、中国が米国に輸出できない量をさらに押し出せば、世界的な出血競争が懸念される。国際通貨基金(IMF)など国内外の機関が相次いで来年の韓国の成長率の見通しを2%に引き下げ、最悪1%台に転落する可能性があると警告したのもこのような背景からだ。韓国開発研究院(KDI)は、輸出増加率が今年の7%から来年は2.1%に下がると見ているが、これさえも米国の関税引き上げが2026年に始まることを前提としている。米国が関税措置にスピードを上げれば、輸出はさらに萎縮し、潜在成長率レベルの成長も危うくなる。そのような中、韓国が米国の為替相場観察対象国に指定され、為替相場の防御も難しくなった。高い為替相場が物価を刺激し、金利引き下げの足かせとなり、内需低迷をさらに深刻化させる可能性がある。このような状況にもかかわらず、政府には切迫した危機意識が感じられない。米大統領選挙直後の電話協議で、トランプ氏が造船業の協力を要請したが、韓国が先にこのような提案をできなかったこと自体が政府の準備不足を示している。今後、様々な「トランプ請求書」を突きつけられるだろうが、韓国が米国に最も多く投資し、雇用創出に貢献していることをアピールし、互いに「ウィンウィン」の取引を提示しなければならない。激しい保護貿易の波を乗り越えるには、特定の地域と業種に偏った輸出市場と海外生産拠点を多角化する戦略も必要だ。規制革新と構造改革で成長ポテンシャルを高める正攻法にも拍車をかける必要がある。
한국어
米国の第2次トランプ政権の発足まであと2ヵ月となったが、すでにその衝撃が韓国経済を揺るがしている。経済の基礎体力を反映するウォン・ドル相場は1400ウォン台を超え、韓国企業の実力を示す総合株価指数(KOSPI)が2400を下回ったが、小幅に反発した。トランプ発の貿易戦争の最大の被害国とされる中国よりも下落幅が大きい。韓国を代表する企業である三星電子は、株価が4万ウォン台まで暴落すると、自社株10兆ウォンの買い戻しを電撃発表した。「トランプフォビア」が過度であるというよりも、米中二大市場と特定産業に依存する韓国経済の脆弱性を余すところなく露呈したのだ。
自らを「関税マン(Tarriff man)」と称するトランプ氏の政権2期が始まれば、輸出で生計を立てている韓国は打撃を免れない。当面、すべての輸入品に10~20%の普遍関税と中国製に対する60%の関税爆弾公約が待っている。トランプ氏は、対中強硬派で関税政策の熱烈な支持者であるハワード・ラトニック政権移行チームの共同議長に商務長官だけでなく通商代表部(USTR)の司令塔まで任せ、より強烈な保護貿易措置を押し進める構えだ。
米中対立とグローバルサプライチェーン再編の影響で対米輸出依存度が高まり、米国は21年ぶりに韓国の最大の貿易黒字国になった。第1次トランプ政権最後の年に166億ドルだった対米貿易黒字は、昨年455億ドルに増えた。米国の立場からすれば、韓国は8位の貿易赤字国だが、これを口実に露骨な通商圧力を加えたり、韓米自由貿易協定(FTA)の枠組みを揺るがす可能性がある。インフレ抑制法(IRA)と半導体支援法が廃止または縮小になれば、米政府の補助金の約束を信じて現地投資を行った韓国企業の被害が大きくなるだろう。いずれも半導体・自動車・バッテリーなど韓国の主力産業が対象だ。
何よりも、トランプ氏の「中国叩き」が本格化すれば、韓国経済への連鎖的なショックが避けられない。以前ほどではないが、国内輸出で中国が占める割合は今年に入って19.2%で、米国(18.6%)を上回る1位だ。中国製の製品に関税爆弾を加えれば、中国に中間財を輸出する韓国も直撃を受けるほかない。韓国の対中輸出で中間財の割合は78%に達する。すでに中国の低価格製品の輸出で国内企業が苦しんでいる状況で、中国が米国に輸出できない量をさらに押し出せば、世界的な出血競争が懸念される。
国際通貨基金(IMF)など国内外の機関が相次いで来年の韓国の成長率の見通しを2%に引き下げ、最悪1%台に転落する可能性があると警告したのもこのような背景からだ。韓国開発研究院(KDI)は、輸出増加率が今年の7%から来年は2.1%に下がると見ているが、これさえも米国の関税引き上げが2026年に始まることを前提としている。米国が関税措置にスピードを上げれば、輸出はさらに萎縮し、潜在成長率レベルの成長も危うくなる。そのような中、韓国が米国の為替相場観察対象国に指定され、為替相場の防御も難しくなった。高い為替相場が物価を刺激し、金利引き下げの足かせとなり、内需低迷をさらに深刻化させる可能性がある。
このような状況にもかかわらず、政府には切迫した危機意識が感じられない。米大統領選挙直後の電話協議で、トランプ氏が造船業の協力を要請したが、韓国が先にこのような提案をできなかったこと自体が政府の準備不足を示している。今後、様々な「トランプ請求書」を突きつけられるだろうが、韓国が米国に最も多く投資し、雇用創出に貢献していることをアピールし、互いに「ウィンウィン」の取引を提示しなければならない。激しい保護貿易の波を乗り越えるには、特定の地域と業種に偏った輸出市場と海外生産拠点を多角化する戦略も必要だ。規制革新と構造改革で成長ポテンシャルを高める正攻法にも拍車をかける必要がある。
アクセスランキング