Go to contents

早くも浮上した米朝直接取引説、「韓国素通り」を心配しているだけか

早くも浮上した米朝直接取引説、「韓国素通り」を心配しているだけか

Posted November. 29, 2024 08:27,   

Updated November. 29, 2024 08:27

한국어

トランプ次期米大統領側が、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記との直接対話の推進を議論しているというロイター通信の報道に、韓国政府は「仮定の領域でしかない」として公式の反応を示さなかった。ただ、政府筋は、「私たちを除外して米朝が交渉のテーブルに座るのは想像できず、想像したくない絵だ」と話した。米国が韓国を除いて北朝鮮と直接取引する可能性は高くないとしながらも、それが現実になれば大変なことだと懸念したのだ。

今回の報道は、実際、十分に予想されていたシナリオであり、第2次トランプ政権移行チームでそのような議論が行われているというレベルだ。トランプ氏はすでに何度も正恩氏との親交を誇示し、「再選すれば彼とうまくやっていける」と話してきた。とりあえずは2人の関係を復元するというが、政策目標も正確なタイムテーブルも決まっていないという。中東やウクライナのような差し迫った課題のため後回しにされる可能性もあると、同通信は付け加えた。韓国政府が大きく注目していない理由だろう。

さらに、政府の見通し通り、米朝首脳間の直接交渉が実現するのは容易ではないのも事実だ。トランプ・正恩両氏は過去に3回会ったが、物別れに終わった。当時はたとえ空言でも北朝鮮の「完全な非核化」の約束があったが、今はその前提条件すら期待できない。さらに高度化された核能力に加え、ロシアとの緊密化で高まった正恩氏の戦略的立場を考慮すれば、トランプ氏がただ仲良くなろうと手を差し出しても簡単に応じないだろう。

ただ、誰にも止められないトランプ氏の取引本能、それを刺激する正恩氏の絶え間ない注目を集める振る舞いは、会談の成就や交渉の進展とは別に、韓国政府をずっと悩ませるほかない。正恩氏が最近、「米国との交渉で行くところまで行った」と過去の直接取引を思い起こさせたり、トランプ氏が北朝鮮との交渉を担当した「北核通」を次期政権の国家安全保障担当副補佐官に起用したことも、改めて「韓国排除」を心配させる。

韓国政府としては、第2次トランプ政権発足後、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の早期訪米を通じて新政権を十分に説得できると期待するムードだ。しかし、そのような希望的楽観論に固執すれば、「想像したくない絵」を遠巻きに見なければならない状況に直面する可能性がある。第2次トランプ政権で予見される情勢の急変に韓国政府も全方位的に備えなければならない。これまで排除したり、疎かにしてきた北朝鮮との緊張緩和、中ロとの関係改善など、韓国の外縁を広げる努力が切実な時だ。