トランプ次期米大統領が来年1月20日(現地時間)の就任を控え、「米国第一」経済政策の導入にスピードを上げている中、これに備えようとする国内外の企業の足取りも速くなっている。
1日(現地時間)、米ワシントン政界と韓米の財界によると、最近、国内外の企業のワシントン事務所は、次期トランプ政権と緊密に意思疎通できる人材の招聘と各種戦略の準備などで「ウォールーム(war room)」を彷彿とさせる緊迫感が漂っている。特に、韓国企業の場合、これまでワシントンの「対官ライン」を積極的に強化してきた三星(サムスン)電子や現代(ヒョンで)自動車だけでなく、SKグループやポスコグループなども最近、関連人材と組織を大幅に強化している。また、他の大企業にもこのような動きが広がるものとみられる。
SKグループは、今年初めに米国に設立した統合対外協力法人「SKアメリカズ」の副社長に、元米上院財政委員会国際貿易顧問で米通商代表部(USTR)副代表を務めたポール・デラニー氏を最近、招聘した。デラニー氏は、20年以上米財界で国際貿易や投資、サプライチェーン及び規制戦略などを助言してきた人物だ。今後、SKグループの北米対官総括業務を担うという。
ポスコグループも最近、ワシントンの戦略諮問企業である「アメリカン・グローバル・ストラテジーズ(AGS)」と契約を結び、第2次トランプ政権への本格的な対応に乗り出した。AGSは、トランプ前政権で国家安全保障担当大統領補佐官を務めたロバート・オブライエン氏と大統領次席補佐官として安全保障政策に携わったアレクサンダー・グレイ氏が設立した政治・戦略コンサルティング会社だ。トランプ前政権で活動したアリソン・フッカー元国家安全保障会議(NSC)アジア担当局長も、首席副社長に就任した。財界関係者は、「トランプ次期政権の関連人脈を把握して対応するラインアップを構築することが急務」とし、「政策動向を把握して事業計画を先制的に準備することが目標」と話した。
各国の首脳もトランプ次期政権への対応に取り組んでいる。カナダのトルドー首相は先月29日、フロリダ州のトランプ氏の邸宅「マール・ア・ラーゴ」を訪れ、カナダの対米貿易黒字解消策などを話し合った。同日の会談は、トランプ氏が先月25日、不法移民と麻薬流入の遮断措置が不十分だとし、就任初日にカナダとメキシコに25%の関税を課すことを予告して4日後に行われた。カナダ国内では報復関税で対応する声も上がったが、トルドー氏はトランプ氏と電話会談した後すぐに私邸を訪れ、友好関係づくりに乗り出した。
また、トランプ氏は同日、中国とロシアが主導する新興国グループ「BRICS」にも関税賦課を警告した。トランプ氏は、「新たにBRICS通貨を作ったり、別の通貨で米ドルに取って代わろうとしたりしないという約束を求める」とし、「従わなければ100%の関税が課されるだろう」と迫った。
林雨宣 imsun@donga.com