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ロシアを扱う欧州の姿勢

Posted December. 02, 2024 08:28,   

Updated December. 02, 2024 08:28

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先日会った76歳のフランス人の元老学者は、「私たちが経験したことのない戦争が起きるのではないかと心配している」と打ち明けた。第2次世界大戦が終わった後、1948年に生まれ、戦争を知らず、だからこそ経験したことのない戦争がより怖いという話だった。北朝鮮軍が、ウクライナと戦争をするロシアに派遣されたことが伝えられた頃だった。欧州人は「遠い国」北朝鮮の兵士約1万人が欧州大陸にやってきたというニュースに緊張している。ロシアが北朝鮮の支援を受けてウクライナだけでなく周辺欧州諸国も攻撃する可能性があるという懸念からだ。先月27日(現地時間)、駐フランス韓国大使館とフランス国際関係研究所(IFRI)が行った北朝鮮人権セミナーでも、専門家らは「今や北朝鮮問題は韓半島だけでなく、世界の問題になった」と繰り返した。

より鮮明になった戦争の脅威の中で、欧州各国の首脳はどのように対応しているのだろうか。まず、対内的には強い口調で確実にリスクを共有する。欧州の安全保障を担当する北大西洋条約機構(NATO)のマルク・ルッテ事務総長は、先月6日に発表した声明で、「北朝鮮軍が欧州の領土にいることは歴史的」とし、「私たちはすでにウクライナ国民に降りかかった破壊よりもはるかに暗い危機に直面している」と述べた。北朝鮮派兵の重要性を強調しながら、ウクライナよりも大きな被害を受ける可能性があることを警告したのだ。

欧州の首脳たちの対内的なメッセージは強く、かつ具体的だ。NATO軍事委員会の議長であるオランダのロブ・バウアー氏は先月25日、ベルギーのブリュッセルで開かれた行事で、欧州の企業に対し、戦時状況に備えて生産と流通方式を調整するよう促した。

欧州諸国は国民にも具体的な行動指針を伝えている。200年以上中立路線を歩んできたが、今年2月にNATOに加わったスウェーデンは先月、「危機・戦争時の行動要領」というタイトルの32ページの冊子を各家庭に発送し始めた。ロシアと1340キロの国境を接するフィンランドも、様々な危機状況に備える方法を紹介するウェブサイトを開設した。

自国民に直接的なメッセージを送る欧州諸国は、ロシアに対してはむしろ間接的で曖昧な発言をする。ロシアを不必要に刺激しないためだ。ウクライナが先月20日、英国とフランスが共同開発した長距離ミサイル「ストームシャドー」でロシア本土を初めて攻撃した時、英政府は攻撃の事実を公式に確認しなかった。海外メディアが一斉に攻撃の事実を報道する中、英国のスターマー首相は、「作戦上、問題に言及しない。そうすれば、ロシアのプーチン大統領だけを勝者にしてしまうからだ」と述べた。

では、休戦中の北朝鮮と国境を接している韓国は、北朝鮮やロシアにどのようなメッセージを送っているのだろうか。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、韓国国家情報院が北朝鮮軍の派遣事実を確認してから1週間も経たないうちに、ウクライナに対する殺傷兵器支援の可能性に言及した。これに対し、ロシアは両国関係が破壊され得ると激昂した反応を示した。

一方、国民と企業に対して戦争のリスクにどう備えるべきかという声はあまり聞こえない。戦争を過度に懸念する必要はないが、北朝鮮とロシアの軍事協力で地政学的リスクが新たな局面を迎えたため、韓国も内部的にはより明確に意思疎通し、外部的には外交的なレトリックに熟練する必要がある。