韓江(ハン・ガン)氏は6日午前、最初の公式日程でノーベル博物館を訪れる。受賞者は自身の所蔵品を博物館に寄贈した後、椅子にサインをする。ノーベル賞100周年を記念して2001年に設立されたノーベル博物館は、アルフレッド・ノーベルと歴代ノーベル賞受賞者の業績を紹介している。寄贈式は非公開で行われるが、韓氏がどのようなものを寄贈したかは後日発表される予定だ。韓氏は同日午後、国内外のメディアを対象に記者会見を開く。
授賞式の事前行事で最も目を引くのは、翌日7日にストックホルム証券取引所で開かれる受賞者の講演だ。すべての部門のノーベル賞受賞者は1時間ほど講演を行うのが慣例だ。特に言語の鬼才であるノーベル文学賞受賞者の講演文は、その後本として出版されるほど大きな関心を集める。韓氏は同日、母国語である韓国語で講演を行い、その後、ノーベル賞のホームページに翻訳文(スウェーデン語と英語)が掲載される。同日の講演はYouTubeで中継される予定だ。
文学界によると、韓氏は自身の作品世界全般を振り返る内容で講演文の草稿を作成し、先月中旬にスウェーデンの王立科学アカデミーに送ったという。文学界関係者は、「韓氏は自分の作品のように落ち着いた雰囲気で講演文を書いたそうだ」とし、「10月のポニー鄭(チョン)革新賞受賞の感想に含まれた穏やかなユーモアコードは今回は見られないだろう」と話した。ポニー鄭賞授賞式で韓氏は、「ややもすると生きている限り、想像の中でいつまでも3冊の本がたまっているのを思い浮かべ、死にきれないという不吉な予感がする」と冗談を言って会場の笑いを誘った。
執筆過程でみられる韓氏の完璧主義的な気質は、今回のノーベル賞講演文の作成にも現れたという。草稿提出後も最近まで文章を修正し続けるなど、最後まで完成度を高めるために多くの努力をしたという。以前、韓氏は2021年に「別れを告げない」(文学トンネ)を出版し、ブックトークを開き、「私は最後まで修正するスタイルなので、編集者を困らせる」とし、「印刷される日まで電話してまた修正すると言ったら、(編集者が)『もう印刷に送られた』と言われたこともある」と話した。
ハイライトである10日の授賞式でも、韓国語を聞くことができる。王立科学アカデミー関係者が、物理・化学・医学賞に続いて4番目に文学賞受賞者をスウェーデン語で約5分間紹介し、受賞者を表彰台に導く最後の言葉を受賞者の母国語で話すのが慣例だからだ。例えば、「親愛なる韓作家、国王陛下からノーベル文学賞を受賞するために前に出ていただくことを要請し、スウェーデン王立科学アカデミーの温かい祝福をお伝えします」といった具合だ。「別れを告げない」をスウェーデン語に翻訳したパク・オクギョン氏が韓国語の翻訳を担った。
授賞式で韓氏は足首までの長さのイブニングドレスを着用するようだ。通常、授賞式では男性は燕尾服、女性はイブニングドレスを着用する。受賞者の出身国の伝統衣装を着ることも許される。
ストックホルムの主な観光名所で「世界で最も美しい」とされるストックホルム市庁舎では、7日から韓氏の大型肖像画のライトアップを見ることができる。韓氏の顔のイメージの照明が庁舎の外壁全体に映し出される。
一方、韓氏が今回スウェーデンに出国する際、息子や父親の韓勝源(ハン・スンウォン)作家は同行しないという。以前、韓氏は息子を海外行事によく同行させた。ノーベル文学賞受賞者発表日にお茶を飲みながら受賞の喜びを分かち合ったのも息子だった。
キム・ソミン記者 somin@donga.com