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「愛妻家」だけが残る哀れな大韓民国の政治現場

「愛妻家」だけが残る哀れな大韓民国の政治現場

Posted December. 03, 2024 08:28,   

Updated December. 03, 2024 08:28

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今秋の韓国の政治の現場には、「愛妻家」ばかりがいるようだ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表はそれぞれ自分の妻を守ることに血眼になっており、与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)代表も妻など家族が関与しているのではないかという「党員掲示板」論議に1ヵ月近く振り回されている。普段から口数が多く、反応も早い彼らしくない態度に「妻の守護が一人増えたのか」という声が聞こえてくる。

尹氏は11月7日の対国民談話で、世間の予想を上回る愛妻家ぶりを見せた。妻の金建希(キム・ゴンヒ)氏の国政介入論議について尋ねると、「(国政壟断に関する)国語辞典を新たに編纂しなければならない」、「私の妻を少し悪魔化している」、「(妻は)あるところでは純真な面もある」と答えた。耳を疑わせる答えだった。野党は金建希氏に対する捜査対象として、株価操作疑惑からディオールバッグ収賄、人事介入、選挙介入、海兵隊員死亡事件及び税関麻薬事件の救命ロビー、大統領室官邸移転疑惑など、なんと13件も挙げている。疑惑の数と種類だけ見ても「純真」だと擁護できる状況ではない。

これに負けじと李氏も11月14日、妻の金恵京(キム・ヘギョン)氏への切ないラブレターを掲載した。金恵京氏は同日、大統領選挙の前に民主党議員の妻3人と京畿道(キョンギド)の法人カードで10万4千ウォン分の食事をした容疑で裁判を受けた。裁判所は金恵京氏に150万ウォンの罰金刑を言い渡し、「選挙の公正性及び透明性を阻害する危険性があった」とした。金額はともかく、行為の意図を問題視したのだ。金恵京氏が事前に知っていようといまいと、食事代がいくらであっても、京畿道の法人カードを不適切に使用したのは事実だ。にもかかわらず、李氏は遺憾の意を表明するどころか、自身のフェイスブックに「妻は犠牲者」とし、「恵京、死にたくなるほど申し訳ない」と書いた。妻に対する悲痛な思いは、家で言葉で言えばよい。少なくとも京畿道民に対する謝罪が先だった。

韓氏も、「党員掲示板」論議から抜け出せずにいる。論議は11月5日、あるユーチューバーが「韓代表や妻などの名前で尹大統領夫妻を非難する書き込みが党員掲示板に掲載された」と主張したことから始まった。韓氏は1週間経って、「不必要な内輪もめをすることはない」、「違法などの問題があるのでなければ、私が説明するのは適切ではない」という曖昧な立場を示した。その後も、党員「韓東勲」は同名異人であるとし、家族もすべて同名異人なのかという質問には答えを避けている。「私たち家族が書いたものではない」と言えば済むことを「(党員保護の)党の義務がある」と答えたので論議が続くのだ。今、与党がこんなことをしている時なのだろうか。

選挙のたびに政界から誘いを受けたある実業家は、「夢はあったが、妻が反対して断念した」と話した。妻と家族を守りたいという気持ちが大きければ、そのような政治的欲望も捨てるのが正しい。公職者や公人になった瞬間、家族に対してもより厳しい基準が適用されるのは当然だ。

今秋、大韓民国は消費・投資・生産などのすべてが後退する未曾有の低成長危機の前に立たされている。国際情勢は揺れ動き、戦争も続いている。にもかかわらず、自分の家族だけを大切にする政治家たちのために、政治の現場は今日も何もできず、騒々しいだけだ。