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国民に勝つ政治はない、憲法裁にのしかかる歴史の重さ

国民に勝つ政治はない、憲法裁にのしかかる歴史の重さ

Posted December. 16, 2024 08:34,   

Updated December. 16, 2024 08:34

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尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の弾劾訴追案が14日午後、国会で可決された。12・3非常戒厳令宣言から11日目のことだ。大統領弾劾案が可決されたのは、盧武鉉(ノ・ムヒョン)、朴槿恵(パク・グンへ)両元大統領に続き、韓国憲政史上3度目となる。国会の弾劾訴追の議決書は直ちに憲法裁判所に提出され、憲法裁は事件番号を付けて弾劾審判の審理に着手した。憲法裁は16日に会議を開き、電子割り当てで「主審裁判官」を確定し、弁論の準備を引き受ける「受命裁判官」2人も指定する予定だ。

今回の弾劾案は、国会議員300人全員が採決に参加し、賛成204票、反対85票、棄権3票、無効8票で可決された。1週間前に与党「国民の力」の議員のうち3人だけが採決に参加し、「投票不成立」で失敗に終わった最初の弾劾案の採決とは異なり、与党議員108人のうち少なくとも12人が賛成票を投じたのだ。与党は、今回の採決に参加したものの、否決を党の統一意見として維持したが、議員12人の良心による所信投票と議員11人の消極的な回避を止めることはできななかった。

いくら大統領の政党であり、政権与党とはいえ、国民の大半が望む弾劾を最後まで拒否することはできなかった。今回の採決の結果、韓東勳(ハン・ドンフン)代表体制が崩壊し、与党は一寸先も見通せない内紛状態に陥っているが、大統領と事実上運命をともにしなければならない政党として、混乱は避けられそうにない。与党の危機は、すなわち保守派政党の危機を意味する。深い省察と反省を基に、保守を立て直すための粉骨砕身の努力が求められる。

国会で弾劾が可決されたことで、憲法裁の時間が始まった。尹大統領自身が辞任を拒否し、与党と政府に国政を委任する異常な体制が解消され、憲法手続きによる権限代行体制に転換されたことは幸いだが、政府の制限的リーダーシップは昨今の混乱と不安を一掃するには限界が明確なのも事実だ。いつになく迅速な憲法裁の弾劾決定が求められる理由だ。

朴元大統領の場合、弾劾案の議決から憲法裁の決定まで91日がかかった。側近の不正が複雑に絡み合っていた朴氏と違って、尹大統領は比較的事実関係が明確で、迅速な審理も可能だろう。ただ、裁判官9人のうち3人が空席であることは、公正性の問題を産む可能性が高い。憲法裁が9人体制を完成させることで汚点のない結論を出せるよう、国会は裁判官候補者の人事聴聞会などの手続きを急いで終えなければならない。

韓国国民は、この10日間以上にわたって予期せぬ歴史的な時間旅行を余儀なくされた。尹大統領の突然の戒厳宣言は、45年前の軍事政権の発動後、歴史の裏にあった暗い記憶を21世紀の韓国に再び呼び戻した。国民は真夜中の戒厳宣言に驚き、国会の阻止で失敗に終わるのをみて胸をなで下ろした。以後、尹大統領の戒厳当時の行跡が続々と伝えられ、ひいては詭弁と無理にその正当性を強弁する尹大統領の談話を聞きながら、国民は首を横に振るしかなかった。

憲法裁は、尹大統領の違憲的で違法的な戒厳宣言に対する国会の政治的審判に続き、内乱罪の首謀者として尹大統領に対する司法的審判を通じて罷免の可否を決める。弾劾審理が行われる間、韓国社会は深刻なイデオロギー的、党派的な分裂と対立の様相を呈する恐れがある。尹大統領でさえ深くはまっている不正選挙陰謀説のような極右的主張を唱える勢力の声は、いつにも増して高まる可能性がある。

憲法の守護者として、憲法裁は法理に基づいた慎重さ、ひいては混乱解消のための敏捷さを示さなければならない。今回の憲法裁の決定は、その司法的判断に劣らず、韓国の至難な民主化が成し遂げた旅程を振り返り、後戻りさせる軌道離脱を正す重要な契機になるだろう。裁判官一人ひとりが感じる重さも格別だろう。特に私たちの歴史が、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」、未来に戻れと叫んでいる。