「島で勉強しながらいろいろな制約が多かったが、そばで先生と友達、家族が応援してくれて合格することができました。医者になったら、こうした感謝の気持ちを社会に返し、希望を与える人になりたいです」
20日、全羅南道新安郡(チョルラナムド・シンアングン)は、都草(トチョ)高校3年生のムン・ジョンウォンさん(18)が、ソウル大学医学部の随時選考に最終合格したと発表した。都草高校の開校から46年ぶりのソウル大学医学部の合格者となる。
映画「玆山魚譜」の撮影地として有名な都草島は、全羅南道木浦市(チョンラナムド・モクポシ)から54.5キロ離れた島で、木浦北港から出発すれば船で2時間半ほどかかる。住民たちは主に、「ソムチョ」として知られているほうれん草を栽培したり、塩田で塩を生産する。
学校側によると、ムンさんはこの島で生まれ、小中高校を全て通った。また、1~3年生を合わせて全校生が159人だけの高校で、全校1位をずっと逃さなかった。人口は約2300人で、学習塾が一つもない島だが、自習と教師の指導で実力を育てた。
この学校のイム・ドンギュ教頭は、「2008年に教育部から寄宿型高校に選ばれ、全羅南道全体の中学生を対象に新入生を受け入れる」とし、「生徒全員は、午後5時に正規授業が終われば、午後10時まで放課後の学校授業を受けて自律学習をする。官舎に住む教師たちも、一緒に残って授業もして質問も受ける」と話した。
それでも足りないところは、金曜日の夕方、寮から出て船に乗って木浦に行き、塾の授業を受け、日曜日の夕方、島に戻って補った。新安郡の朴禹良(パク・ウリャン)郡守によると、ムンさんは高校在学中に母親を事故で亡くし、失意に陥ったりもしたが、教師と友人たちの助けで再び元気を取り戻したという。
都草高校は、ムンさんに奨学金1000万ウォンを支給する計画だ。都草高校の卒業生が寄付した1億ウォンで、今年からソウル大学の進学生に奨学金を支給することにした学校の方針によるものだ。
ムンさんがソウル大学医学部の随時募集に1次に合格した時から、島はお祭りムードだったという。最終合格後は、島のあちこちはもちろん、島を行き来するカーフェリー船にもお祝いのプラカードが掲げられた。ムンさんの伯父のシム・トゥジュさん(57)は、「都草高校のサークル発表会が開かれる26日、住民たちと甥の合格を祝う宴会を開くことにした」と話した。
崔예나 yena@donga.com