ロシアに派遣された北朝鮮兵が、偽のロシアの身分証で身元を隠していることが分かった。ロシア側が、北朝鮮兵が派遣されたという事実を隠蔽するために作ったものとみられる。ロシアが北朝鮮兵を領土奪還のための人海戦術に大量動員しているという主張も出ている。
ウクライナの特殊作戦軍は22日、ロシアと激戦を繰り広げているロシア南西部のクルスク州で殺害された北朝鮮兵3人が所持していた軍用の身分証を公開した。それぞれの身分証には、キム・カン・ソラト・アルベルタビッチ、ドンク・ジャン・スロポビッチ、ベレク・アガナク・カポロビッチというロシア人の名前が表記されている。しかし、署名欄にはそれぞれリ・デヒョク、チョ・チョルホ、バン・ククジンというハングルが書かれていた。
ウクライナ側によると、通常のロシアの軍用身分証には所有者の写真や発行機関のスタンプも押されている。しかし、今回の身分証には写真とスタンプがなかった。また、3人の身分証とも出生地がロシアのショイグ前国防相の故郷であるトゥヴァ共和国と表記されていた。特殊作戦軍は、「ロシアが戦場での損失を隠し、北朝鮮兵の存在を隠蔽しようとしている」と主張した。
ウクライナのメディア「ユーロマイダン・プレス」は同日、「ロシア軍がクルスク州を奪還するために北朝鮮兵を動員している」と報じた。この過程で、北朝鮮兵の死傷者が数百人発生したが、戦術を変えていないと伝えた。同メディアによると、ロシア軍は21日、ウクライナ軍が占領しているクルスクの尾根を突破するため、マラヤ・ロクニャ、チェルカスコエ・ポレチノエ、ルスコエ・ポレチノエなどに歩兵攻勢を試みた。同メディアは、北朝鮮兵の動員戦術を「人間の波(human wave)」、「肉挽き器(meat grinder)」などと表現した。しかし、ウクライナ軍が砲兵陣地を構築して持ちこたえており、隠蔽が困難な平原地域であるため、死傷者が増えている状況だという。
一方、ロシア軍内部では、派遣された北朝鮮兵に対する不満が高まっているという。ウクライナメディアRBCは、ウクライナ軍がロシア軍の捕虜を尋問した内容を引用して、「彼ら(北朝鮮兵)はどこへどうやって行くのかを気にしない。狂った人々」と伝えた。
北朝鮮兵の一部が武器を不用意に扱うという証言もあった。RBCによると、あるロシア軍捕虜は「北朝鮮兵が訓練場でロシア兵の足に銃を撃ち、助教が腹に銃を撃たれたこともある」と話した。また、「彼らはウクライナの無人機(ドローン)かロシアのドローンか気にせず、飛んでいるものなら何でも撃墜する」と語った。
また、別のロシア軍捕虜は、「私たちの食糧の中で最もおいしいのはそば粥だが、北朝鮮兵はスモークソーセージを食べる」と、北朝鮮兵の厚遇に不満を吐露した。
イ・ギウク記者 71wook@donga.com