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モンドリアンの菊

Posted January. 02, 2025 08:37,   

Updated January. 02, 2025 08:37

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菊は、多くの文化圏で死と哀悼を象徴する花と考えられてきた。長く咲く花だから、変わらない愛と記憶を象徴するからだ。ピート・モンドリアン(1872~1944)は、黒い格子の中に赤、青、黄色の四角形のある明るく強烈な抽象画で有名だ。そのような彼が、菊をたくさん描いたことはよく知られていない。彼はなぜ、菊を好んで描いたのだろうか?

20世紀の抽象美術の先駆者と呼ばれるモンドリアンは、実は初期は、静物画と風景画を描く写実主義の画家だった。ジャンフランソワ・ミレーに代弁されるフランス・バルビゾン派から影響を受けた。彼は1900年から20年余りの間、花に魅了され、250点余りの花の絵を描いたが、その中の多くが菊だった。「菊」(1908~1909年・写真)は、紙の上にデッサン用クレヨンであるコンテで描いたもので、大きな菊一輪に焦点を当てている。画家は、まるで花を目で解剖するように、非常に精巧でありながらも写実的に描写した。細長い菊の花びらがねじれて、垂れ下がっている。萎れかかっている。葉はすでに乾いたのか、大きさも小さい上、未完成で終えた。実際にもモンドリアンは、生き生きとした菊ではなく、枯れる直前の花を選んで描いた。強烈で曲がった花びらのラインの処理は、ゴッホの「ひまわり」を参照したはずだ。

モンドリアンは、「花の造形的構造をよりよく表現するために」、花束ではなく一輪ずつ描くことを楽しんだと明らかにした経緯がある。表面的には花の造形美のために選択したのだろうが、この絵を描く頃、彼が霊的進化を強調した神智学に没頭したことを勘案すれば、菊が持つ象徴性に魅惑された可能性も大きい。

夏に開花して秋まで咲く菊は、収穫と自然の循環を象徴することもある。造形的に美しいうえ、このような象徴性まである菊は、霊的な次元で芸術を実験しようとしたモンドリアンにとって最高の素材だったのではないだろうか。彼が菊を描き、また描いた理由だろう。