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規模拡大に躍起になり、安全は後回しの地方の空港

規模拡大に躍起になり、安全は後回しの地方の空港

Posted January. 04, 2025 08:18,   

Updated January. 04, 2025 08:18

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179人の命を奪った務安(ムアン)済州(チェジュ)航空事故を機に、地方の空港の脆弱な安全システムが改めて浮き彫りになっている。地方の空港の多くが務安空港のように安全管理装備や人員などが不十分で、利用客不足で空港運営能力まで低下し、同様の事故が発生する可能性があると懸念されている。一部の空港は劣悪な安全環境にもかかわらず、国際空港への昇格を推進しており、地方空港の施設及び運営実態に対する大々的な点検が急務だ。

今回の事故の被害を拡大させた原因として多く指摘されているのは、航空機の着陸を支援するアンテナ施設であるローカライザーだ。この設備は、飛行機が衝突する場合に備えて衝撃を和らげる材質を使用しなければならないが、務安空港は固いコンクリートでできた2メートルの高さの構造物にアンテナが設置された。ところが、麗水(ヨス)・光州(クァンジュ)・清州(チョンジュ)・浦項慶州(ポハン・キョンジュ)空港の少なくとも4ヵ所にこのような致命的なコンクリート構造物が設置されているという。政府はようやくローカライザーの現況に対する全数調査に乗り出したが、泥縄式対応と言わざるを得ない。

地方の空港の運営状況はさらに悲惨だ。全国15の空港のうち、仁川(インチョン)・済州・金海(キムヘ)・金浦(キムポ)を除く11ヵ所が慢性的な赤字状態だ。年間利用客が2023年基準で30万人にも満たないところが8ヵ所もある。これは単に経営難を超え、安全関連予算、施設、人員不足につながるほかない。務安空港は事故当日、鳥類駆除担当者が1人しか勤務しておらず、鳥類駆除装備も完備していなかったが、他の空港の事情も同じだ。襄陽(ヤンヤン)空港は飛行機の位置・距離・種類などを把握する管制レーダーが全くない。

そもそも事業性の低い地方の空港を乱立させた結果ではないだろうか。空港が乱立することで利用客が減り、赤字になり、安全インフラが劣悪化する悪循環に陥ったのだ。地方の空港とともに許可が乱発され、9社も誕生した格安航空会社(LCC)も出血競争を繰り広げ、劣悪化が深刻だ。

このような状況にもかかわらず、年間利用客が10万人にすぎない泗川(サチョン)・原州(ウォンジュ)空港は国際空港への昇格を推進しており、さらに建設が確定または協議中の地方新空港だけでも8つにのぼる。既存空港だけでなく、新空港の経済性と安全性を総体的に再点検しなければならない理由だ。乱立しているLCCの運営実態も徹底的に調べなければならない。務安空港で起こったような事故が繰り返されることが決してあってはならない。