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惨事の現場ではいつも「すべての政府は嘘をつく」

惨事の現場ではいつも「すべての政府は嘘をつく」

Posted January. 06, 2025 08:37,   

Updated January. 06, 2025 08:37

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2024年12月31日、国土交通部(国土部)のキム・ホンラク空港政策官は、務安(ムアン)空港で起きた済州(チェジュ)航空旅客機墜落事故の記者ブリーフィングで、議論になっている「コンクリートの丘」について「滑走路端安全区域の外にあるので、素材の規定が適用されないと考え、コンクリート構造物にした」と話した。事故機が衝突した丘がなぜその場所に設置されたのか、また「壊れやすい材質」という規定があるにもかかわらず、なぜコンクリート製なのかをめぐって議論が沸騰している。丘のすぐ前までが滑走路端安全区域であるべきではないかという現場記者たちの指摘に対し、キム氏は「国際規定を見なければならないが、英語ではインクルディング(including=含む)か、アップトゥ(upto=まで)か、ここで分かれる」と答えた。179人が亡くなった惨事の原因を解明する場に、こっそりと「インクルーディング」と「アップトゥ」の解釈問題を持ち出した公務員の姿を見て過去の不安な記憶が蘇った。

2014年4月16日、セウォル号沈没。翌日、海洋警察庁は海難救助隊(SSU)、特殊戦部隊(UDT)などを動員し、行方不明者の大規模な捜索作業を行っていると発表したが、後に公開された国防部の資料によると、彼らは海に入ることすらできなかった。激しい潮流のためだった。当時、海洋警察庁のキム·ソクギュン庁長は行方不明者の家族にダイバー約500人を投入したと言ったが、当時のイ·ジュヨン海洋水産部長官が報告を受けた投入人員は「8人」だった。

2022年10月29日、梨泰院(イテウォン)ハロウィーン惨事。翌日、当時のイ・サンミン行政安全部長官は「特に憂慮するほどの人出ではなかった」と述べたが、事故直前に憂慮するほどの人波に112番通報が殺到したことが公開された。監査院はこの事件の監査を内部的には議決しておきながら、対外ブリーフィングでは「具体的な計画はない」と嘘をついた。政権への負担を懸念したのではないかという観測が流れた。

アメリカのジャーナリスト、イシドア・ファインスタイン・ストーンは1964年、アメリカがベトナム戦争中に「トンキン湾事件」を捏造した事実を暴露した。当時、米国の大半のメディアは政府の発表をそのまま報道したが、ストーン氏は4ページの週刊誌「ストーン・ウィークリー」に政府の発表は嘘だと書いた。1971年に公開された米国防総省の極秘文書でストーン氏の報道は真実だったことが明らかになった。米紙ワシントンポストの元記者マイラ・マクファーソン氏はストーン氏の評伝「すべての政府は嘘をつく(All Governments Lie) 」で、「ストーン氏は政府の説明の中で混乱、事実関係の不一致、ごまかしのような不可解な部分に注目した」と評価した。

済州航空機惨事の真相究明への道のりはまだ遠い。コンクリートの丘ができた背景や関係者に対する疑問も高まっている。これまで、韓国政府は自分たちが悲劇の原因や結果のどこかに触れているたびに、わかりにくいレトリックとあいまいな説明、虚偽の発表で責任の痕跡を消そうとしてきた。

国民や遺族は、国土部が持つ権限と専門性で今回の事故の真実まで「アップトゥ」して(到達して)、国土部の現職・元職員の責任者にも刃が向けられることを期待した。しかし、国土部の発表を見るたびに疑問が増すばかりだ。もしかしたら彼らは事故調査の主体ではなく、責任と処罰の対象に「インクルーディング」されるべきではないか、そんな気がする。