
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の弾劾審判を進めている憲法裁判所が、最近与党を中心に提起された裁判官偏向論議について、「憲法裁判官の個人的な性向を画一的に決めつけ、弾劾審判の本質を歪めている」と強く批判した。憲法裁は、「弾劾審判は裁判官個人の性向に左右されるものではない」と反論した。
憲法裁のチョン・ジェヒョン広報官は31日午後、記者会見で、「大統領弾劾審判は、被請求人(大統領)の行為が憲法や法律に反するか、違反の程度が重大かなどを憲法と法律を客観的に適用して行われるものであって、裁判官個人の性向に左右されるものではない」とし、「司法部の権限侵害の可能性と関連して、憲法裁は懸念を表明する」と述べた。
これに先立ち、与党「国民の力」は、憲法裁の文炯培(ムンヒョンベ)所長権限代行と最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表が司法研修院18期の同期で、過去SNSで交流したと批判した。これに対し憲法裁は、「大統領弾劾審判とどのような関係があるのか」とし、「2人は(現在)フェイスブックの友達の関係ではないと承知しており、10年前に作成されたコメントの会話内容まで記憶することを期待することはできない」と述べた。
憲法裁は、李美善(イ・ミソン)、鄭桂先(チョン・ゲソン)裁判官も弾劾審判を自ら辞退すべきだと与党が主張していることについて、「裁判官に公正な審判を期待できない事情は主観的な疑惑だけでは不十分だ」とし、「合理的に認められる客観的な事例がなければならないというのが確立された大法院(最高裁)の判例だ」と一蹴した。
憲法裁が政界を批判する理由は、与党が「憲法裁の公正性が疑われる」として裁判官の除斥や忌避などに言及しているためだ。「国民の力」の権寧世(クォン・ヨンセ)非常対策委員長は同日午前、党の非常対策委員会会議で、「憲法裁判官の政治的性向が明らかになった過去の行為や特定の政治勢力との特殊な関係が次々と明るみになり、憲法裁を国民が信じられなくなる状況が発生している」と主張した。さらに、「憲法裁判官8人のうち3人がウリ法研究会出身であることが明らかになり、憲法裁判所ではなくウリ法裁判所という批判まで出ている」と強調した。
憲法裁は同日、国会側が申請した李祥敏(イ・サンミン)前行政安全部長官、金龍彬(キム・ヨンビン)中央選挙管理委員会事務総長と尹大統領側が申請した申源湜(シン・ウォンシク)大統領室国家安保室長、趙太庸(チョ・テヨン)国家情報院長、白鍾郁(ペク・ジョンウク)前国情院第3次長を証人として採択したと明らかにした。李氏と申氏、白氏、金氏に対する証人尋問は来月11日に、趙氏に対する証人尋問は13日に行われる予定だ。
柳原模 onemore@donga.com