Go to contents

「1億ウォン現金支給」少子化政策、効果を考えて長期的な対策を立てなければ

「1億ウォン現金支給」少子化政策、効果を考えて長期的な対策を立てなければ

Posted February. 09, 2024 08:37,   

Updated February. 09, 2024 08:37

한국어

呉世勲(オ・セフン)市長は最近、ソウル市幹部会議で、「現金を支給して出生率を上げようとする試みは今年が最後になるだろう。これからは子どもを産んで育てやすい社会を作る政策に集中しなければならない」という趣旨の発言をしたという。呉氏は7日、自身のフェイスブックに「室・局長に破格的な出産インセンティブと共に、未来に備える先制的な政策課題の準備を注文した」とし、「先を見据え、事前に準備する」と書いた。最近、各所で現金支援を増やす少子化政策が先を争って打ち出されている中、呉氏が提示した方向性はうなずける。

17年前の第17代大統領選挙当時、「新婚夫婦に1億ウォン支給」を掲げた許京寧(ホ・ギョンヨン)候補の公約は、現実化が困難な荒唐無稽な内容にすぎなかった。しかし、今では1億ウォン前後を支援するという少子化政策は当たり前の内容になって久しい。

仁川市(インチョンシ)は昨年12月、仁川で生まれるすべての子どもが18歳になるまで計1億ウォンを支援するという内容の「1億プラス・アイ・ドリーム」を発表した。これに負けじと、慶尚南道居昌郡(キョンサンナムド・コチャングン)は出生児1人当たり1億1千万ウォンを、忠清北道永同郡(チョンチョンプクト・ヨンドングン)は最大1億2400万ウォンを支給するという内容の少子化対策を相次いで発表した。民間企業も参加した。富栄(プヨン)グループは、2021年以降に生まれた子どもがいる従業員に1人当たり1億ウォンを支給すると発表した。

全羅南道海南郡(チョルラナムド・へナムグン)の少子化政策は、かつて「地の果ての村の奇跡」と呼ばれるほど模範的な事例として挙げられた。2000年に人口10万人を割ると、12年から出産奨励金300万ウォンを現金で支給した。50万ウォンだった出産奨励金を6倍に増やし、全国最高水準で支給した。わずか1年で出生児が約300人増加の810人にのぼり、出生率2.47人を記録した。全国の地方自治体の中で最も高い数値だった。その後、海南郡は18年まで全国基礎自治体の出産率1位を逃さなかった。問題は、出産奨励金を受け取った4世帯のうち1世帯が海南郡を去ったことだ。育児、教育、医療などのインフラが不十分だと感じた親たちが、支援金だけ受け取って住みやすい地域に移ったのだ。

ソウル大学経済学部の李澈羲(イ・チョルヒ)教授の研究チームが少子高齢社会委員会の依頼で昨年作成した「少子化政策評価及び核心課題選定研究」によると、所得上位21~40%のみ出産支援金が出産率に有意な影響を与えたことが分かった。一方、国公立保育所の拡大は、人口10万人以上100万人未満の都市でいずれも出生率を高める効果があることが調査された。

むろん、インセンティブが全くないよりは、「1億ウォン現金支給」の少子化政策は助けになるだろう。しかし、ある40代の共働きの母親の不平は心に響く。「お金がないから産めないわけじゃないでしょう。いつ育てて、いつ学校に通わせるんですか。躊躇するため産まないんです」。結局のところ、共働きの親でも安心して子どもを預けて働ける、質の高い教育を受けられるインフラが重要だということだ。育児休暇制度を普及させ、職場の保育所など育児インフラや教育施設を増やす努力も想像力を発揮し、「1億ウォン現金支給」のような破格的な政策につながることを期待する。