西海(ソヘ・黄海)上の北方限界線(NLL)付近で行方不明になった韓国国民が北朝鮮軍により射殺され、焼却されるという、事件が発生した。
軍は、行方が分からなくなってから射殺されるまでの34時間、救出作戦など特に措置を取らず、大統領府は軍から射殺報告を受けた後、10時間後に文在寅(ムン・ジェイン)大統領に報告したことが分かった。文大統領は、韓国軍と政府が射殺の事実を知った後も、国連総会のテレビ演説で終戦宣言を通じた非核化を強調した。北朝鮮政権の残虐性と共に文政権が成果に掲げた北朝鮮政策の「素顔」が赤裸々に露になったという指摘が出ている。
24日、軍によると、海洋水産部所属の漁業指導船の男性乗組員Aさん(47)は21日午前、行方不明になった後、翌日(22日)午後3時半頃、西海NLLの北朝鮮側のトゥンサンゴッ付近の海域で北朝鮮水産事業所の船舶に発見された。当時、Aさんはライフジャケットを着用し、浮遊物をつかんで、力尽きた状態だったという。その後、北朝鮮の船舶はAさんと一定の距離を保ちながら、漂流経緯と北朝鮮に来た過程について尋問し、同日午後9時40分頃、北朝鮮の取締艇1隻が現れ、Aさんを射殺し、遺体に近づいて油をかけて燃やしたと、軍は明らかにした。
大統領府は24日、徐薫(ソ・フン)国家安保室長を中心に国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開いた後、真相調査と責任者の処罰、謝罪などの措置を求めた。NSC事務処長の徐柱錫(ソ・ジュソク)安保室第1次長は、記者会見で、「北朝鮮軍が何の武装もせず抵抗の意思もない韓国国民を銃で殺害し、遺体を傷つけたことは、いかなる理由であれ正当化されない」とし、「反倫理的行為を謝罪し、このような事態の再発防止に向けた措置を取らなければならない」と求めた。
文大統領は22日午後6時36分、行方不明者に関する書面報告を受けたが、射殺の事実は、大統領府に報告された22日午後10時半から10時間が経った23日午前8時半に初めて対面報告を受けたと、大統領府は明らかにした。大統領府は射殺報告後、23日午前1時頃、盧英敏(ノ・ヨンミン)大統領秘書室長、徐室長、朴智元(パク・チウォン)国家情報院長らが出席した中、関係閣僚会議まで開いたが、射殺の事実は文大統領に当時直ちに報告せず、大統領府の危機管理システムに少なからぬ問題点が露呈したという指摘も出ている。軍消息筋は、「Aさんが行方不明後、北朝鮮側に残忍に殺害されるまでの約30時間、大統領府と軍は関連内容を隠し、結果的に傍観した」と述べた。
申圭鎭 newjin@donga.com